<スウェット姿ですんません。>
着替える時間無かってん。
お客さん待たせる方が悪いやろ?
って、あれ?いきなり押しかけてくる方がアレなんか?
まあええわ、とりあえず居留守と無視が一番よくないしな。
「はいはい、今開けまっせ~」
ガチャッと玄関開けたら、そこに立っとったのは。
「「 あ…!! 」」
昨日、買い物行くときにすれ違った兄ちゃんやった。
スーツでイケメンの、顔色悪いしやつれてるけど、山田より全然マシな。
『秋月さん…そんなに祟られたいですか…?』
しもた、山田、マンションの敷地内なら自由に動ける地縛霊やった!!
あれ?それもう地縛霊って言わへんことない?
いや、ええねん。そこはええねん。
ひとまず山田は無視しとこ。
「あー……昨日、すれ違いました……よね?」
「ええ…お会いしましたね…。俺も驚いてます……」
「すんません、寝起きなもんでこんな格好で」
「いえ、そこは気にせんといてください。アポなしで来てしもうたこっちが悪いんですし」
「ええと……とりあえず、どうぞ中に。特に変な現象とか……起こらんはずですから。……山田ァ!!さすがに空気読めや!?」
「山田…?」
「いえいえ、こっちの話です。すんません。どうぞ」
「はい。お邪魔します」
イケメン男は靴を脱ぐと、ピッチリ揃えてから入ってきた。
ちゃんとしとる人やな。
たぶん俺には無理やな、こういうんは。
リビングに入って、ちょっとだけ驚いた。
なんか、さっきより片付いとる。ちょっとだけ。
お客さんをあげるのはちょっと躊躇うけど、友達やったら呼べそうな程度には。
……冷蔵庫の横で、山田が手を挙げとる。
有り難いけど、ちょっと自己主張が激しいで。
そんなにモブから抜け出したいんか。
「ひとまず、そこのソファにでもおかけください。今コーヒーでも入れてきますわ」
「あ、いえ、そこまでしてもらわんでもええですよ?」
「俺が飲みたいだけですねん。ブラック?それともミルクか砂糖、入れます?」
「じゃあ、ブラックで…」
隣人がおずおずとそう言うてくる。
そうや、これや。
このぐらいの遠慮がクソジジイにも山田にもないねん。
あ、腹立ってきた。鎮まりたまえ~
「そういえば、引っ越ししてきた時も挨拶もせんと、すんませんでした。俺、秋月修司っていいます」
「あ……俺は、竹倉 凪いいます」
「依頼はちゃんとお聞きしますんで、まずは隣人としてご挨拶、ってやつですわ」
「……そうですね、はい。よろしゅうお願いします」
コーヒーを持って、ひとつは竹倉サンに。もうひとつは俺の前に。
さて……ほんなら始めよか。
「竹倉サン、悩みを言うのと、知りたいこと聞くの、どっち先がええですか?」
ここからが、秋月心霊相談事務所の始まりや。
次回へ続く!!
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