<朝から電話とか、勘弁してくれ。>
ちなみに俺は、パートをクビになってからアラームはかけてへん。
必要なくなったからな。
クソジジイは『生活リズムが~』とかなんか言うてくるけど、知らんわ。
そもそもあいつらがいる、それだけで俺のリズムは狂ってしもてるんやぞ。
あーー……あ。電話。
「……もしもし」
【……。】
「どちらさま?」
【…………。】
「イタズラ電話なら切りまっせ」
【いえ!あの、えっと……心霊相談に乗ってくれる…というのは、ほんまですか?】
「……え、あ?ああ!はいはい、そうですそうです」
【ポストのチラシを見てお電話させてもろたんですけど…】
「あ、見ていただけたんですね。ありがとうございます!」
俺はそう返しながら布団から飛び出し、隣の部屋におった奴に集合をかけた。
……っていうてもクソジジイと山田だけなんやけど。
リビングのちまいテーブルに置いて、スピーカーモードにする。
たぶんこれで、ジジイも山田も聞こえるやろ。
相手は若そうな男の声やった。
ただ、声がめっちゃ疲れとる。山田みたいや。
『失礼ですね、一緒にしないでくださいよ!』
「お前も俺の思考読めるんか?幽霊はエスパーなんか?」
『おめさんの表情が分かりやすいだけじゃ。ほれ、ちゃんと応答せぇ』
あ、せやな。
「お電話いただけたということは、何かお困りごとでも?」
【はい…それで、ちょっと相談に乗っていただきたいんですけど…】
「承知しました。私がそちらに向かいましょうか?それとも事務所…って言うても自宅なんですけど、こちらに来られますか?」
【……それでは、そちらに伺いたいんですが…】
遠慮がちに男は言うてきた。
まぁ、そらそうやな。
俺、電話番号しかチラシに書かへんかったもんな。
そんな奴、俺やったら絶対、自分ちに呼びたないもん。
「では、こちらの住所をお伝えしますね。メモなどの準備は宜しいでしょうか?」
【あ、はい。ちょお待ってくださいね…】
ガサゴソと手元をさぐる音がする。
俺もな、一応こういうよそゆきの喋り方はできるんやで。
前にクビになったスーパーやなくて、もう何個か前の、事務の電話応対で身についてん。
『な~にを威張っとるんじゃ、おめさんは』
「だから……ああもう!!なんべんも言わすなや!!」
『もうこれ、秋月さんのせいなんですから、自業自得で諦めましょう?』
「なんかお前に言われると猛烈に腹立つわ、山田」
『ひどい!!』
そうこうしてる内に、相手が電話を持ち直すような音して、声が聞こえてきた。
【すみません、お待たせしまして……お願いします】
「はい、では住所ですが、京都市伏見区…――――」
住所を淡々と言う。そんな俺の手には、俺宛ての不動産屋からの郵便物。
しゃあないやん、まだ住所覚えられてへんねん。
ただ、住所を伝えきったところ、電話の向こうの雰囲気が変わった。
なんや……事故物件バレか!?
【あ、あの……その住所間違いないんですよね?その…402号室】
「へ?ああ、はい。間違いないですけど……」
【隣です。】
「は?」
【ですから、俺の部屋、隣です。403号室です】
「え、えええええ!?」
それは想定外!!
絶対事故物件なん知っとるやん、そんなん!!
「えっと……どうします?一応、もうこの部屋、『事故物件』て言われる原因は取り除いて住んどるんですけど……来られます?」
【……行きます。お邪魔してもよろしいですか?】
「あ、それはもう、隣なんやったらいつでも……」
ピンポーン
「あ、すんません、今インターホンが……」
【それ、俺です】
「はい?」
【隣なんで、ささっと出てこさせてもらいましてん。開けていただけますやろか】
「あ、は、はい……ちょお待ってくださいね。とりあえずこの電話は切りますわ」
【はい】
通話を切って……俺は頭を抱えた。
なんでやねん……なんで俺の周りには幽霊も人間もアクティブな奴ばっかり集まんねん!!
「どーしよ……」
『入れてやればよかろ?何をそんなに困っとるんじゃ』
「……部屋散らかってるし、俺、そもそも着替えてへんし……」
『隣人なんじゃろが。しょうがなかろう。ほれ、早よ行かんかい』
ピンポーン
もっかいインターホンの音がした。
はいはい分かってまっせ。今出ますさかいに。
…………最悪やん。
次回へ続く!!
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