<初めて住人とすれ違った。>
マンションの出入り口んとこで。
俺は越してきて日が浅いんやけど、誰かと会うたんは初めてかも。
スーツ着た、俺と似たような背丈なんやけど……顔が白い。
いや、白いっちゅうか…青白い。
たぶんイケメンなんやろけど、顔色と、目の下の隈と、ヨレたスーツで全部台無しになっとるな。
一応会釈だけはしといた。(いのちだいじに)、って。
ほんで、普通に買い物しに行って、普通に帰ってきた。
「ただいま~」
『さきいか!』
『プリン!』
『殻つきピーナッツ!』
「……食いモンを俺の名前みたいに言わんといて」
しゃあないから、レジ袋からさきいかとプリンを出して。
「山田はこれやったな」
殻むきの、普通のピーナッツをお供えしといた。
『ちょっと!秋月さん!!僕がお願いしたものと違うじゃないですか!』
「いや、殻つきは俺が嫌や」
『そっちの方が美味しいんですよ!!』
「剥いた殻が散らかるやん。お前にやったもん、最終的に食うの俺やしな?なんで俺が好きやないモン買うてこなあかんねん」
『酷い……秋月さんが僕だけに冷たい……』
「いや、お前にだけやないつもりやけど」
クソジジイも正直どっか行ってほしい。
なんでや。俺は静かに暮らしたいだけなんや。
霊感だけでもめんどくさいのに、なんでそれよりもっとめんどくさいモンに絡まれとんの、俺?
「で、この筆ペン様で、なんて書くって?」
『”心霊相談、承ります”じゃ。ちゃんと”秋月相談事務所”と書くんじゃぞ。あ、あと電話番号もじゃ』
「へいへい。……じ、む、しょ……っと。で、電話番号書いて…これでええんか?」
『字ィ汚ッ!!!』
「それ前回聞いたし。なんべんも言うんやめてくれ。ちょっとは傷つくんやぞ、これでも」
『……まぁ、良いか』
「フル無視!?」
『じゃ、これを部屋数分……まぁちょっと多めで30枚ほどコピーしてこんか。で、マンションの集合ポストに一枚ずつ入れるんじゃぞ』
「えっ、俺また外行かなならんの!?」
『えへへ、おにーちゃん、プリン美味しい!!』
「クソジジイ!!言うだけ言うて千紘とチェンジすんなや!!」
しゃあないな……近くにコンビニあって良かったわ。
「ほな、もっぺん行ってく『殻つきピーナッ……わぁ!!』
山田がまだ言うてくるから、普通のピーナッツの袋投げつけといた。
すり抜けて壁にぶち当たって落ちたけど。やっぱりビックリはするんやな。
次回へ続く!!
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