旅の仲間 悪魔の鎧 4
「許せねぇな」
ファーンが腰のダガーを1本抜く。そして、腕の関節に押し込んでみた。
剣の先は簡単に入るのに、関節同士を引きはがす事が出来ない。そこで、もう1本抜いて、同じ肘関節に差し込んでから、はさみを開くように腕を切り離す。腕が床に落ちて音を立てたら不味いので、落ちた腕をファーンが足の甲で受けて、絶妙なバランスを取りながら、そっと床に降ろす。
大道芸人みたいな足裁きだ。
次に肩関節に剣を差し込んだが、切断しようとする前に、床に置いた鎧の腕が空中に浮いて、そのまま元の位置にくっついてしまう。
「くっそう。切り離しても元に戻っちまう。本当に『魔人形』だな」
ゼアルが魔人形について語った内容で、どんなにバラバラにされてもいつの間にか元に戻ってしまうという話があった。
この鎧も同じで、関節を切り離しても、すぐに復元してしまうようだ。
「だけど、きっと秘密があるはずだ」
ファーンが再びいろんな所を覗いてみる。もちろん一番怪しい面の真ん中の宝珠も、である。
「やっぱここか?」
ファーンは1歩下がると、2本の剣を構えて、兜の宝珠目がけて全力で突き入れる。
ギィーンッッ!
ファーンの突きは宝珠に当たるが、滑って鎧の面に当たる。だが、宝珠が少し欠ける。
「クソッ!オレじゃ力が足りない!でも一応傷は付けられるぞ」
ファーンは再び剣を構える。
「こうなりゃぶっ壊れるまで何度でもやってやる!」
だが、この動きが魔法使いの目に留まってしまった。
「おや?あの雑種は何をしてるんだい?」
ファーンは思わずゼアルの方を見る。
「やばい。さすがにバレるか・・・・・・」
ファーンが首をすくめた。
「ざ、雑種だと!?」
カシムが怒鳴る。
「あいつ何を怒ってるんだ?」
見ると、カシムはすでにボロボロだ。尻餅付いて立ち上がれていない。
「ん?どうした?人間でもエルフでもない半端者の雑種如き、どうして気にかける?」
ファーンからするとゼアルの言う通りで、今更気にもしていない。
ファーンは、元々スラム出身で、毎日生きるか死ぬかの生活をしていた。
母親からも邪魔者扱いされて捨てられた。
「雑種」「できそこない」「半端者」と散々ののしられ、蔑まれてきた。そうした言葉にすっかり慣れてしまっていたのだ。
同じスラムの連中も、ファーンの事を見つけては毎日殴ったり蹴ったりの暴行を受けていた。
誰もがファーンを蔑み、嘲笑していた。
それが当たり前だった。
だが、カシムはそれを怒っている。
怒りが力になったか、カシムが立ち上がる。
「ありがとなカシム。そいつをきっちり懲らしめてやろうぜ」
ファーンはつぶやいてクスリと笑う。そして、再び剣を構える。




