第20話 なんだ性癖か
「いい湯だニャー♪」
聡子の言葉とは思えない言葉が湯舟に響く。
人型になった聡子は何の抵抗もなく身体を洗わせてくれたし、ご機嫌に湯舟にも浸かった。
「にゃーん……」
と甘えて、口元をぺろぺろしてくる聡子。
チッ、しょうがねーな。
変身した時はびっくりしたけど、人型でもあんま変わんねーわ。
「さて、そろそろあがろう。のぼせちまうからな」
「にゃー」
タオルで身体を拭いてやると、白いパンツをお尻にぴっちり穿かせ、ジュニア・ブラのような肌着をかぶせて小ぶりな乳房を包み、セーラー服を着せて脇のジッパーを降ろし、プリーツ・スカートを穿かせて腰骨付近のホックとチャックを閉じてやる。
「つーか、なんでセーラー服なの?」
「この服ニャ? 千蔵がくれたニャ」
よそで変身して裸じゃ不自然だからニャ……と言うが、なんでセーラー服かの説明になってないんだよなあ。
ひいじいさんは陸軍出身だし。
「うむ。千蔵はこの服だと女が8割増しに可愛いく見えたそうニャ」
なんだ性癖か。
しょうもねーなぁ。
ちなみに聡子が『ちょっとだけは使える』と言ってた空間魔法は変身時のセーラー服などだけでいっぱいなんだと。
「ニャーん!」
そうこう話していると、聡子はネコ型に戻った。
今の俺の魔力だと、まだそれほど長い時間ヒト型状態を保つことはできないらしい。
俺の魔力が32で、おおよそ30分くらいだったな。
風呂に入る程度はできるが、人型状態で長時間冒険するのはまだまだ厳しそうだ。
◇
それから、ゴードンが農園を訪れた。
二カ月ぶりである。
食料を購入し、また地下室へ入れておいてもらう。
今回は8万7000Gの債権を消費した。
「残り138万5600Gか……減ってきたなあ」
俺は、自分の方に付けている帳簿を見つめてつぶやいた。
「そろそろ収入のことを考え始めないと。ゴードンさん。なにか仕事はないかな?」
「はあ。どのようなお仕事をご所望でやんす?」
ひいじいさんみてーに王侯貴族や大商人から大ドラゴン討伐を頼まれてやる……なんてことはまだまだ無理そうだ。
でも、そこまでの強敵を倒さなくても、モンスター狩りの需要はあるような気がするんだよ。
ドーラの森が特別じゃなかったら、この世界けっこうモンスターが湧くもんな。
「そういうことでしたら、すぐにご紹介いたしやす!」
喰いつき良ッ!?
思った以上に。
「い……いや、今すぐにってワケじゃないんだ。まずはこの農園をもう少しちゃんと育てたいからさ」
「なるほど、勇者さまから託された農園でやんすし、もっともなことでやんす」
ゴードンはヒゲをいじりながらうなずいた。
「では、農園が軌道に乗りやしたらいつでもおっしゃってください」
「ありがとう」
さて、これからこの農園をどうするか。
まずはあと十枚の畑をすべて土レベル20にするために、西でのモンスター狩りでFグレードの肥料を集めるのを続ける。
その後は、農園を拡張するために『木こり』に会いにいこうって考えてたんだ。
木こりはひいじいさんの友達で、東のダンジョンを越えた先の町にいるって聡子が言ってたよな。
「東へはいつ行くおつもりでやんす?」
「今のペースなら二カ月もあれば出発できそうかな」
「では、その頃また農園へうかがいやしょう。東のダンジョンを越えれば、ドーラの森の外。硬貨も必要でやんしょ」
「そうかぁ。助かるわー」
ゴードンは一晩だけうちに泊まると、また商売の旅へ出ていった。
次回更新、明日7時10分




