閑話003 双頭の獅子、雌伏を誓う
さらに開きすぎてしまったので今までの簡単なあらすじ
魚人のアレイスタは、甥っ子探しに出掛ける前に誘拐事件に巻き込まれる。
事件はなんとなくうやむやのまま終わったが、今は甥っ子の手掛かりを握ってるらしい誘拐犯とこっそり合流しようと画策するアレイスタなのであった。
……という本編とは別の視点によるフォローです
その三。
マティルダ・ローラ・エリー・アルフレーダ、あるいはマルティネス・ローラン・エリヤ・アルフレッドという2つの名前を持つ王族の少女であり少年が、とある魚人の雌性体とのことを振り返る話。
見送っていた背中が霞んで見えなくなり、マルティネスは手を下ろした。
「行っちゃいましたね」
「……そうね」
隣で手を振っていた従弟が、ぽつりとつぶやいた。それに頷いて、どちらからともなく馬車に向かう。気が抜けて女言葉に戻ってしまったことには気づいたが、気に留めはしなかった。どうせ身内だけだ。
それよりも、はやくこの場を離れたかった。すっかり周囲の視線を集めてしまっている。普通に過ごすには、自分たちは少し顔が知れすぎていた。ちょうど明日はエルジー・ピクトリカル※の発行日だ。一面に載ることになるだろうが、アレイスタの周囲が騒がしくならないのは、不幸中の幸いだ。追いかけるものもいないだろうから。
彼女は行ってしまった、親愛のキスを頬に残して。
別れは物悲しいものだと知っていたが、実感したのは初めてだ。きっと従弟のアルヴィンもそうだろう。とはいえ、笑顔を崩すようなことはしないが、少し足を速める。
普段は気にならない視線が、今は煩わしく感じた。
彼女を一言で言うと、残念、である。いい意味でだ。
整った見かけは、けれど知る限りいずれの地域の好みにも合わない。落ち着いた声は、ともすれば女性らしさに欠ける。率直な物言いは、不躾に感じる者もいるだろうし、宮廷の作法など知らない仕草は粗野ともとれる。流れるような身ごなしだったが、見かけ倒しで強くない。知識は豊かだったが、実技が伴わなかった。
誘拐犯の元から帰城した夜のことだ。
マルティネス――マティルダは、帰りの馬車でアレイスタと会話をしていた。その会話の流れの中、彼女はごく自然にこう言った。
「まあ、今日はとりあえず帰って無事を喜びあって。
後は全部明日考えればいいんじゃないですか」
なんのことかと問えば、だって怒ってたじゃないですか、と返された。アルヴィン殿下のこと、気にされてるんじゃないですか、と。
……帰ったら。
とりあえず疲れたから風呂に入りたいとか、明日はどうするかとか、そんな普通の話をしていただけだった。途中で考え込んだり、特に沈黙が落ちたりといったこともない。
それでも彼女は、マティルダの心の奥に蟠っていた不穏な感情を、ごく普通に知っている。
頭が真っ白になった。
白く塗りつぶされる時に頭をよぎった顔があった。それに押され、何が言いたいのかも分からずに口を開く。
「……あ、の、」
それは、アルヴィンであり、エスターであり、叔父夫婦であり、祖母たる女王だった。感情がぐちゃぐちゃと渦巻き、胸が苦しい。
覚えているとは、思わなかった。関わりが薄い彼女にしてみれば、従弟の無事を伝えた段階で、話は終わったはずだ。それにそういう親戚で、そういう役目を負った、そういう人たちだ。より濃い血族を優先する決断を、誰も気にしない。実際、帰ったところで気にしているのはマティルダだけだろう。
それでも、マティルダは忘れられないのだ。
「あの、覚悟は。
そんな軽いものではないわ」
乾いた口内の、喉の奥から絞り出した声は、圧し殺されて唸り声のようだった。自分の声を遠いところで聞きながら、マティルダは自分が酷くいらだっていることを知った。もしアレイスタの表情に同情や憐憫がにじんでいたら、怒鳴りつけていたかもしれない位に。
誘拐犯に襲われた時、マティルダは、アルヴィンを囮に逃げた。
彼らが気にしていないことは知っている。それでも、すぐに向き直った視線が、かばうようにあった背中が、自分を促した腕が。そういった場合があるかもしれないと知っていたが、実際に起こった出来事はマティルダの心に暗く重くのしかかっていた。
アレイスタが、ゆっくりと瞬きをした。マティルダの強い視線を感じないはずもないのに、特にそれを気にした風もない。その態度に腹が立つ。
「……はい、立派だと思いますよ。
アルヴィン殿下も、……ルディも」
諭すような穏やかな声音に、かっと腸が熱くなる。熱が一瞬でつま先から頭まで広がり、脳が焼けつくように沸騰した。
「私は逃げたわ!
あの子を盾にして逃げたわ!
おまけに、」
声を荒げて叫んだ内容に、自分で情けなくなる。
くしゃり、と顔がゆがんだ。
「堂々と立つ自信が、ない、臆病者だわ……」
この様はなんだと、自分が心底厭わしい。
例えば、迷いなく覚悟を決めた、従弟の心中はいかばかりだったろうか、とか。それを知った叔父と叔母は、どう感じただろうか、とか。……その従弟に、伯父に、伯母に、自分がどうして顔向けできるだろうか、とか。
例えば、王錫を携えた祖母であれば、この国の全ての民の行方を導く役目を負って、忠誠を受けいれている彼女であれば、今回も決して揺らがないだろうに、とか。
あの時エスターに止められた言葉を、誰が同意してくれるだろう。
自分が祖母の、女王の在り方にいらだち、尊敬する念とのせめぎあいに苦しみ、迎えてくれるだろう従弟に、叔父夫婦に、怒ってののしってくれればと考えているなど。
幼い従弟より血統のみで自分を優先した隊士たちの在り方を、それをさせた王家を、それを受け入れた従弟を、忌わしく感じたことなど。
そんな感情を親しい人に感じた戸惑いと、今まで疑問を感じなかった愚鈍な自分に対する怒りなど。
自分があこがれ、目指した祖母の背中が目に浮かぶ。王たる彼女は峻厳な空気に包まれ、身の丈の何倍も大きく見えた。
だから、マティルダが目指すべきは、あの背中のはずだった。倣うべきなのだ。祖母は臣民に慕われ、その重さに耐えている。
そう頭で考えるのに、あの屋敷の部屋で悲鳴をあげた心は、全く違うのだ。
やはりマティルダも、見習って飲み込むべきだと期待されているのだろうか。納得したくないのは、ただのわがままなのか。
いずれ王位に立つというのに、意見を言ってもまるで駄々をこねる頑是ない子供のように流され、期待された覚悟もできないどころか、自分の感情さえままならず、やりきれなかった。
生じた思いは腹にたまり、マティルダに重くのしかかる。
「私は……!」
途切れた言葉に唇をかんだ。感情の矛先が、目の前のできたばかりの友人でないことは知っていた。ようするに、これは八つ当たりだ。誰に向ければいいのかわからないいらだちの矛先を、彼女に向けようとした。
口をつぐんで俯く。謝らなければならないことは分かっていたが、口を開けば感情の赴くまま刺々しい言葉が飛び出してきそうだったからだ。
静かな沈黙が落ちる。
「……私は、陛下は良い王だと思いますが。
別にルディに陛下になって欲しいとは思ってませんよ」
視線を上げれば、微妙に困った顔をしたアレイスタと目があった。言葉を探すというわけでもなく、視線を定めたままゆっくりと口を開く。
「ルディは、陛下と違うのだから、違う良い女王になればいいじゃないですか。
全部同じやり方をしなくてもいいでしょう?」
個人的には、ルディのように図々しいほうが好きです、と付け足された言葉に、思わず眉をしかめた。
「図々しい?」
「はあ。
欲張りと言ったほうが正しいのかもしれませんが」
それだとて良い意味の言葉ではない。
「はっきり言いなさいよ」
あからさまに不機嫌なマティルダを見て、彼女はうーん、と首をかしげた。かしげる割には躊躇う素振りはない。
「まあ、何と言いますか。
その、今回の基準に合わせると、私、切り捨てられるほうじゃないですか」
あっけらかんと、身も蓋もないことを言った。はっきり言えとは言ったが、さすがにあまりの言いようにマティルダが黙る。
「でも、私は助けてほしいわけで。
なんで、ルディには、ご自分もアルヴィン殿下もエスターさんも私も守ってくれるような王様になってほしいんですよ」
皆さんがどんなつもりかは知りませんが、と肩をすくめた彼女に。
その時の気分を、何と言えばいいのだろうか。
なんというか。
気が、抜けた。
はっきり言えば、あまりに図々しく当たり前かつ当然と言える主張に、馬鹿らしくなったのだ。
「ふ、ふふふふふ!」
肩の力が抜けると同時に、口から笑いがこぼれてきた。
見抜かれた少しの苛立ちと、八つ当たりしてしまった後ろめたさと、べそをかいた気恥ずかしさに、自分の感情を肯定してもらえた安堵と、理解された喜びがない混じる。
「ふふ、ふふふ!
何よ、貴女の方がよっぽど図々しいじゃない!」
「はあ、すみません」
まったく気が抜ける返事だ。張り合いも気合もない。実際、彼女はマティルダを前に気負いなどないのだろう。
そう思ったら、彼女を前に悩むのがなんとも滑稽だった。
そもそも初めからアレイスタはマティルダを前にかけらも取り繕っていなかった。全く頼りにしないでくれと堂々と言い放ち、王族に対する遠慮も見られず、自分は貴族や王族とは関係ないし興味ないんですという体を隠しもしない。見ていてある意味清々しい。興味があるもの以外はどうでもいいという態度はあの一族らしいのかもしれないが、悩んだ自分も馬鹿らしく思えてくるというものだ。
実際のところ、アレイスタはマティルダの感情を推し量ったわけでない。こちらにドロシーしてきた際に甥っ子に暴走トラックから庇われた彼女にしてみれば、同病相哀れむというだけのこと。その上で自分の希望を述べただけだ。余談である。
「ねえ、ちょっと励ましてみなさいよ、私がやる気が出るように」
「え、私がですか」
焚きつければ、うーん、と困惑したような表情で首を傾げたアレイスタは、少し迷ってから口を開いた。
「何と言いますか。
なんかルディは、なんだかんだ言って自分の好きなようにすると思うんですよね」
「何よそれ、どういう意味」
励ましてないどころか。
言われた言葉に顔をしかめれば、やはりこちらの様子には頓着せず、言葉を探しながら続けられた。
「なんていうか、ルディが好きなようにふるまったら、周りが変わるというか。
ルディは好かれる王様になると思うので、みんなそのためにがんばるというか、そんな感じで」
実際は、エスターさんとかの周りの方がが変えたり変わったりするんでしょうけど。
なんの気負いもなく言われたセリフに、思わず固まる。
なんだか、嬉しいような恥ずかしいような、そういう言葉だった気がする。
「だから、納得できないところを嫌だって言っとけばいいと思いますよ。
急には無理かもですが、きっとみんな着いてきますから」
大丈夫、そうしたいって言ったら、きっと皆さんで考えてなんとかなりますって、と至極気楽に言う。
「大丈夫ですって、きっと今までもそうやって、前よりちょっとずつ良くって、国を作ってきたんじゃないですかねえ。
ルディはきっと陛下より良い国にしてくれるでしょうし、ルディの次の王は更に良い国にしてくれます。
陛下だって喜ばれますし、私たち国民も大喜びですよ」
その表情は、あっけらかんと全くなんの疑いもない。
実際は、そんなに単純なものでもないだろう。躓くことも多く、進まないことも多いに違いない。それどころか、悪くなることもなるのではないだろうか。
それでも。
目の前の相手は、なんの手掛かりもないんですけどと言いながら、世界を股にかけた旅に出ようとしているという。よく言えば前向きで行動的なアホ、悪く言えば考えなしで行き当たりばったりなアホだ(アホなのは変わらない)。
「……私は、陛下より良い王になるかしら」
それでも、足踏みしているよりはよほど建設的だ。
朗らかな顔は、実際に全く陰りがない。その期待と信頼は温かく心地の良いもので、マティルダは心が痛くなった。彼女の民がみなこんな顔をしているのならば、それはなんと心強いことか。
マティルダは、それで彼女をとても気に入ったのだ。恩を感じたというだけでなく。すぐに発つというしがらみのなさでも、ステータスのせいだけでもなく。
その夜、彼女と知り合えためぐりあわせに、誘拐犯に感謝してもよいと思うくらいには。
アレイスタは中身が残念だ。
いい意味で。
整った見かけは、知る限りいずれの地域の好みにも合わない。マティルダがあこがれていた、社交界の華となるような絢爛たる美貌ではない。隣国のリュシーア姫のような少女らしい愛らしさでも、東で喜ばれる楚々とした美女でもない。
それでも、監禁されていた部屋に彼女が――てっきり彼女ではなく彼だと思っていたわけだが――入ってきた時、思わず感心した。マティルダはは立場上かなりの人物を見てきたが、それでもちょっと見ないくらい彼女の容貌が整っていたからだ。伸びやかな手足は健やかな若木のようで、大人になる直前の少年のような生命力に満ちていた。どこの地域の好みにも合わないが、いずれでも決して否定できない、彼女の容姿はそうものだった。
落ち着いた声は、女性らしさに欠ける。鈴がなるようなだとか、伝説の歌姫ティシャのようだとか、そういった例えは間違っても利用できない。
それでも、あの騒然とした場で彼女が発した言葉は、他の雑音に決してまぎれず、なぜか妙に心地よく凛と響いた。耳に伝うその声は恐らくどのような場でも、雑踏にまぎれることなく届くのだろう。女性らしさはないが、響き良く安らぎを届ける、彼女の声はそういうものだった。
率直な物言いは、不躾に感じる者もいるだろうし、宮廷の作法など知らない仕草は粗野ともとれる。マティルダが身につけているような洗練されたような優雅さはなく、遠まわしな謎かけや思わせぶりな態度など絶対にできないに違いない。
それでも、まっすぐに伸びた背筋や臆するところのない態度にあるのは市井で見かけるような気安さで、それは粗野かもしれないが卑しさを感じるものではなかった。粗野かもしれぬが卑ではない、彼女の態度はそういったものだった。
そこまではまあいい。まあいいのだが。
流れるような身ごなしだったが、見かけ倒しで強く、知識は豊かだったが、実技が伴わなかった。初めはてっきり訓練された従者や騎士見習いだと思ったのだが、その期待はすぐに裏切られた。アレイスタは自己申告どおり、綺麗さっぱり役に立たなかった。
家庭教師の授業に付き合わせた際に、魔法や剣技は見事な頭でっかちだということが判明した。この手の技術は通常ある程度バランスが取れるものだが、いっそ感心するほど出来なかった。いや、発生からの期間を考えれば、実技の実力は相応なのかもしれない。マティルダたちのように特殊な立場でもない限り、訓練も何もないだろう。身のこなしと知識量がおかしいのだ。気持ち悪いくらい不自然に、それに特化してしまっている。
そんな、素材を見事に駄目にする欠点があっても、愛嬌と見られるのだから、得な性分である。実際、アレイスタが完璧な、例えばあでやかな貴婦人で花のような声を持ち洗練された物腰の、すばらしい剣と魔法の腕を持つようなものであれば、おそらくマティルダは彼女を側におきたいとは思わなかっただろう。彼女は隙があり、どうも憎めない。人心にするりと入り込む、そういう雰囲気があった。美人は三日で飽きるというが、飽きないだろう自信がマティルダにはある。見ていて面白いのだ。目を離すととんでもないことに巻き込まれているというのもあるが。
何しろ、彼女はトラブルに愛されている。サンタンジェルの羽事件も、七色の動く胸像騒ぎも、脅威・蛸男出現事件も、怪盗レクスレザスの予告状も、さらにズロース一斉紛失事件のときも――彼女がいた間の、城の事件発生率は異常である――なんだかんだ彼女は騒ぎの中心にいた。おかげでトラブルシューターの役割を振られたものは、途中からまずアレイスタのところに来るようになっていた。さすがに落雷騒ぎのときはやりすぎだろうと思ったが、結局それも彼女が関わっていたのだからしゃれにならない。その判断の合理性に関心したものである。当人は納得いかない顔をしていたが。
アレイスタは残念である。いい意味で。
……再度言うが、いい意味でである。
一緒に過ごせる時間は振り回した。多分自分は少し浮かれていたのだ、とマティルダは思う。と同時に、本当に信用してよいのか疑わしく思いながら、試すように振り回した。しかしそれ以上に彼女が招き寄せるトラブルに振り回された。それでも、それは悪い日々ではなかった。
ガラガラと馬車が行く。
「……まあ、悪くなかった」
「楽しかったです。
騒がしかったですけど」
多分同じことを想像したらしい従弟と苦笑する。ふと笑いの合間に沈黙が落ちる。それまで合わなかった目が、あった。
「ルティス兄さん、その、本当に女王じゃなく……」
おそらく、今日一日ずっと気にしていたのだろう。マティルダは日ごろから女王を目指すことを公言しているが、同時にアルヴィンのほうが優れた王になるとわかれば譲ることも伝えてある。成れなかったら腕を活かして騎士になり、そうして国を支えたい、と。マルティネス――マティルダにとって王といえば女王だったから。
心配そうにこちらを見てくる従弟が面白いと同時に、少しばかり腹立たしい。自分は、たかが1人の女のために、道を変えると思われているのか。
「……さあ?」
「兄さん!」
思い切りいたずらっぽい笑顔を浮かべてあいまいな返事をすれば、あせったような声をあげる。と同時に、変わらないこちらの顔に、からかわれたと気づいたらしい。
「悪趣味ですよ」
「お前が悪いだろ」
「……、すみませんでした」
疲れたように座り込んだ従弟に、見くびられた意趣返しを果たし満足したマルティネスは深く座り込んだ。
ゆっくりと目を閉じれば、浮かんでくる顔がある。あの時、今まで見えていなかった国民の、本当の顔が見えたと、思った。
「どっちを選ぶかはともかく、陛下よりいい王を目指すさ」
あの、朗らかな期待と信頼に応えると決めたのだ。
次に会うときまでに、より誇れる国を作って見せる。
(※)エルジー・ピクトリカル……絵入り新聞。週一回の発行。エルゲントスで新聞といえばこれ。契約者には魔道具の端末が渡されており、そこに毎週新しい情報が配信されるエコな仕組み。ちなみに端末はレンタル。正式名称はエルゲントス・ピクトリカル・ニューズウィーク。
がちゃり、と玄関が開く。
「……橙子、帰ったぞー」
逆光で伸びる影が、ゆっくりと家に入ってくる。とも、声も近づいてくる。
「橙子、どこだー?
ようやく仕事がひと段落ついて、しばらく……」
ネクタイを緩めながら、かちゃ、と笑顔で台所のドアを開け、凍りつく。
視線の先には、倒れている女性が。
「橙子!?
橙子、どうした!?」
(以上、イメージ映像でお送りしました)
こんなことがありまして。
橙子さんは正月明けくらいからブルースクリーンが頻発し、1年経たずに実家療養となってしまいました。
あんまり無理はさせてないと思うんですが、やっぱり水が合わなかったのかなあ(橙子さんは台湾出身。ASUSなので)。早く帰ってきてほしいです。書きにくいよう。
そんなわけで、仕事繁忙期のブランク+別視点の書きにくさに加え、書き直し+再構成でさらに時間泥棒にあってこんなに間が空きました。えらいすみません。