『夢操の檻』カナン編 第6章:開戦(中編) ― 灼熱の世界、そして絶望の檻
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1.檻の内側
無数の船が、カナンの外壁、死角に近い箇所へ接岸する。
目の前には、空を突くような白銀の防壁。その高さは絶望的で、至る所から自動機銃の銃口がこちらを狙っていた。
「ワイヤー射出ッ!!」
エレナの合図と共に、船から無数の梯子付きワイヤーが射出された。
「登れ! 止まるな! 止まった奴から死ぬぞ!」 ジンの叱咤を受け、兵士たちが次々と壁に取り付く。
ユーリもまた、ワイヤーフックを壁の隙間に食い込ませ、真っ白な垂直の崖を駆け上がった。
S-EINたちは、指先に装備された強力な鉄の爪を直接装甲板に突き立て、火花を散らしながら四足獣のように壁を登っていく。
「……がっ……!」
頭上で爆辞が起きた。
すぐ隣を登っていた味方の兵士が、上からの狙撃を受けて力なく落下していく。 前、スポーツに誘ってくれた兵士だった。
「くそっ……!」 ユーリの手が止まりかける。
だが、止まれば自分も同じ運命だ。 下を見れば、沈んでゆく自分たちの船。そして、重い装甲に進軍が遅れていた重装兵たちが、壁の裾野で次々と銃弾に倒れていく。
「見るなユーリ! 上だ、上だけを見ろ!」
後ろを登るカイトの声が響く。
彼は目が見えないハンデを背負いながらも、誰より正確にフックをかけ、迷いなく登ってきていた。
壁の至る所で、火花と悲鳴が交差する。
S-EINのうちの二機が、上からのミサイルを受けて爆散した。 ハルが悲痛な声を上げるが、残りの機体は主人の悲しみを補うかのように、より速く、より力強く爪を立てた。
壁を登り切るまで、あと数メートル。
その時、壁の頂上から叫び声に近い怒号が響いた。
最初の兵士たちが、ついに天辺を奪取したのだ。彼らが放り投げた戦車が、壁の上の防衛陣地を粉砕していく。
「今だ! 行けえっ!」
ユーリは最後の力を振り絞り、壁の縁を掴んだ。
腕の筋肉が悲鳴を上げ、白い装備が油と硝煙で黒く汚れる。 縁を乗り越え、カナンの天端に足をついた瞬間、ユーリの目に飛び込んできたのは、星の形をした巨大なシティ。
――「カナン」の全貌だった。
そこは、これまでのどの街よりも美しく、そして冷酷な、檻の迷宮。
「……着いた。ここが、地獄の本拠地だ」
カイトとは背負ってきた鉄板を展開し、早くも無線に何かしゃべりかけている。
それを見て、ユーリは息を切らしながら軽機関銃を携え、白銀の大通りと視線を向けた。 後ろからは、生き残ったS-EINたちが、ガシャン、ガシャンと力強く上陸してくる。
しかし、安堵する暇はなかった。
迷路のような回廊の奥から、新政府の「正規軍」である純白のEINの軍団が、一分の乱れもない足取りでこちらへと向かってくるのが見えた。
海戦は終わった。 ここからは、壁の内側での凄絶な殺し合い
――本当の「戦」が始まる。
激しい海戦を抜け、ユーリたちが直面したのは高さ数十メートルの白銀の防壁でした。
自動機銃と狙撃が飛び交う中、ワイヤーフックと爪を突き立てて壁を登る決死の登攀戦。
一緒にラグビーに興じた仲間や自作のS-EINを失いながらも、ユーリたちはついにカナンの天端へと辿り着きます。
そこで彼らを待っていたのは、美しくも冷酷な「星型要塞カナン」の全貌と、整然と隊列を組む新政府の正規EIN軍団でした。
壁を越え、いよいよ舞台は要塞内部での戦へ!
ユーリとS-EINたちはこの死地にどう立ち向かうのか、次回の激闘もぜひ楽しみにしていてください!
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