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夢操の檻 ―配られた夢と、誰も夢を見なくなった日―  作者: World of NariNari


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『夢操の檻』 ユーリ編 第7章:亡霊の刃、真実の残光

カクヨムでも重複投稿しています

物語をお楽しみください

1. 牙を研ぐ日々

ミナとの修行は、ユーリの「肉体」と「精神」を一度完全に破壊し、再構築する作業だった。


新政府の戦術は、圧倒的な火力と強固な装甲――すなわちEINや重装備の兵士による「制圧」が基本だ。


だが、ミナが教えるのは、風を読み、影に潜み、最小の行動で最大の結果を生む「狩人」の技だった。


「ユーリ、自分の鼓動を聞きなさい。従うべきはマニュアルじゃない。生きている人間のリズムよ」


ミナの叱咤が飛ぶ。


アキトがかつて愛用していたナイフを逆手に持ち、ユーリは密林の木々を敵に見立てて駆ける。


新政府の制服を脱ぎ捨て、動きやすさを重視したウェアに身を包んだ彼は、もはやエリートの若き将校ではない。


泥にまみれ、死線を見つめる立派な旧政府軍の軽装兵へと変貌を遂げていた。


「アキトはね、そのナイフで未来を切り拓こうとした。……あんたは何を斬る?」


ミナの問いに、ユーリは無言で応えた。


一閃。


木に吊るされた標的が、目にも止まらぬ速さで真っ二つに裂ける。


「……レオン上官の、いいえ、レオンの嘘を斬ります。そして、彼の真意を暴く。それが僕の今の『夢』です」


ミナは満足げに、しかしどこか寂しげに微笑んだ。


「いいわ。……さあ、仕上げよ。実戦で、その力を証明してきなさい」

________________________________________

2. 蒼い閃光――ニューシティー潜入作戦

二度目の攻略作戦の舞台は、海沿いに位置する中規模のニューシティーだった。


目的は、新政府が独占している医療用ナノマシンの強奪。


病に伏せる島の仲間たちを救うため、失敗は許されない。


「……行くぞ」


ジンの合図と共に、味方の軽装兵とユーリは暗闇を裂いて走り出した。

かつての彼なら、EINを先行させ、自分は後方でデータパッドを叩いていただろう。


だが今のユーリは、自らが先頭に立ち、屋根を駆け、監視カメラの死角を縫うように進む。


「……ピピッ」


前方の曲がり角から、EINの駆動音が聞こえる。


ユーリは即座に天井の配管に飛びつき、息を殺した。真下を通り過ぎる、かつての「守護者」の無機質な頭部。


(今の僕は、システムにとっての『ノイズ』だ)


そう自覚した瞬間、鋭い集中力が研ぎ澄まされた。


EINが通り過ぎる一瞬の隙。ユーリは音もなく着地し、アキトの遺したハンドガンを抜いた。 狙うのは装甲ではない。関節部の露出した動力ケーブル。


――パシュン。


サプレッサー越しの乾いた音が響き、EINは警報を鳴らす間もなく、糸の切れた人形のように膝をついた。


「こちらユーリ。ゲート突破。これより医療棟へ潜入する」


「了解。無茶はするなよ、坊主」


ジンの無線に応えながら、ユーリは建物の内部へと滑り込んだ。


医療棟の内部は、ニュー・プロビデンスを彷彿とさせる清潔な白色に塗り潰されていた。 そこには、怪我をした数名の守備兵と、動揺する職員たちがいた。


「テロリストだ! 射殺しろ!」


守備兵が銃を構える。以前のユーリなら、ここで「正義」の板挟みになり、足を止めていただろう。だが、ミナとの修行が彼を変えていた。


「……動くな!」


ユーリは弾丸のように突っ込み、守備兵の懐へ潜り込んだ。


銃を撃つのではない。ハンドガンのグリップで相手の顎を殴り、瞬時に意識を刈り取る。


ベットなどの障害物が多いおかげで、撃たれる心配はなかった。流れるような動作で二人目の腕を捻り上げ、壁に叩きつける。


殺さない。だが、確実に無力化する。


「く、くそ……」


倒れ伏した守備兵の言葉を背に、ユーリはナノマシンの容器を回収し、ホルダーに入れる。


「……僕はかつて、君たちと同じ場所にいた。だから、君たちが信じている『平和』が、どれほど脆い夢の上に成り立っているかも知っている」


その時、施設内に非常警報が鳴り響いた。


「増援か……!」


外からは、無数のEINの足音が近づいてくる。


「ユーリ! 囲まれる前に脱出しろ!」 ジンの焦った声が無線に響く。


ユーリは窓際へと走り、外の広場を見下ろした。 そこには、数十機のEINと、装甲車が展開しつつあった。


「……」


ユーリは窓ガラスを突き破り、空中へと身を投げ出した。 重力に従い落下しながら、落ちる寸前、壁を蹴る。


大きく弧を描き、EINの包囲網の頭上を飛び越えた。勢いを殺すために着地で回転する。少し足をくじいたが、心配するほどではない。この動きは軽装兵だからこそできる動きだ。ミナとの戦闘の成果が出ている。


「撃て! 逃がすな!」 背後から銃弾の雨が降り注ぐ。


もちろんアニメや映画のようにうまく避けられるはずがない。


仲間が何人か倒れ、血しぶきが飛ぶ。救うことはできない。肩を銃弾がかすめる。


ユーリは複雑なステップで弾道を逸らす。 「速い……! 」 守備兵たちの驚愕を尻目に、ユーリは煙幕を爆発させた。 白煙が広がる中、彼はまるで最初から影だったかのように、ニューシティーの境界線を越え、荒野の闇へと消えていった。

『蒼い閃光――ニューシティー潜入作戦』をご覧いただきありがとうございました!


旧政府軍の軽装兵として、ミナとの凄絶な修行を乗り越えたユーリ。

かつてエリート将校だった彼は新政府の制服を脱ぎ捨て、仲間を救うためのナノマシン強奪作戦へと挑みます!


かつては守る対象であり、平和の象徴だったニューシティー。そのシステムを知り尽くしているからこそ、ユーリは「ノイズ」となって死角を縫い、EINの弱点を突いて駆け抜けます。


アキトの残したナイフと銃を手に、無用な殺生を避けながら守備兵を撃破していくユーリですが、戦場は甘くありません。銃弾が飛び交い、仲間が倒れる泥臭い現実の中で、彼は自分の肩を削られながらも煙幕へと消えていきました。


割れた紋章を捨て、「レオンの真意を暴く」という新たな夢(意志)を見つけたユーリ。彼が見せる疾走感あふれるアクションと成長を、楽しんでいただけたら嬉しいです!


「ユーリのアクションが格好良すぎる!」「アキトのスタイルを継承して戦う姿が激熱!」と思ってくださった方は、ぜひ【ブックマーク】や【星評価★★★★★】で応援していただけると、今後の執筆の大きな力になります!次回もお楽しみに!

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