『夢操の檻』 新政府軍 第4章:崩れる天秤、正義の暴走 第2話
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3. 壊滅と正義の終わり
「クソがぁッ! 寄るな、この野良犬どもが!!」
デオが重機関銃を乱射し、迫り来る兵士たちをなぎ倒す。彼の筋肉質な巨体は返り血で真っ赤に染まり、もはや正義の執行者というよりは、血に飢えた狂戦士に見えた。
だが、そのデオの足元にも、敵の放った手榴弾が転がった。
「デオ!!」
ユーリの叫びと共に、爆音が島を揺らした。 爆煙の中から、片腕をだらりと下げたデオが這い出してくる。
「……へっ、こいつら……死ぬのが怖くねえのかよ……」
周りを見渡せば、ユーリの部下たちは次々と砂の上に沈んでいた。 白地に金のラインが入った誇り高き制服が、泥にまみれ、引き裂かれている。 あんなに強固だったEINも、集中砲火を浴びて回路をショートさせ、沈黙していった。
残っているのは、ボロボロになったデオと、彼を庇いながら立つ二機のEIN。そして、震える手で銃を握るユーリだけだった。
「……なぜだ」
ユーリの目から、涙が溢れた。
「なぜ、そこまでして戦うんだ! システムに従えば、誰も死なずに済むのに! なぜ……!」
「黙れ、お綺麗なニュー・プロビデンスの坊主が」
一人の負傷した兵士が、アキトの仲間たちの影から這い出してきた。
「お前らの『夢』ってのは、俺たちの『今』を奪うための毒だ。仲間を奪われ、家族を奪われ、最後に心まで奪われて、何が幸せだ……!」
ユーリは、その言葉に反論できなかった。
先ほどの村で見せた、あの母親の空虚な微笑み。 それが、彼らの言う「魂の死」なのだとしたら。
広場の中央、倒れたシルヴィアのすぐそばで、ユーリは膝をついた。 周囲には、銃口を向ける数十人の「人間」たち。
彼らの瞳には、恐怖を通り越した、凄まじい「生」の執念が宿っていた。
ニュー・プロビデンスの偽りの空の下では、決して見ることのなかった光景。 システムが排除しようとしていた「ノイズ」とは、これほどまでに熱く、激しく、痛々しいものだったのか。
ユーリの正義は、血塗られた孤島の土の上に、無残に崩れ落ちた。
「……レオン上官……。僕は、何を間違えたんですか……」
絶望の中、ユーリは空を仰いだ。
『壊滅と正義の終わり』をご覧いただきありがとうございました!
ついに「夢守の島」にて、ユーリたち新政府軍と、アキトたちの執念が真っ向から激突しました。
圧倒的な最新鋭の武力を持っていたはずの『ホワイト』が、泥を啜り、仲間を守るために死すら恐れない旧政府軍の「熱」の前に圧倒され、壊滅していく。
ユーリがずっと信じてきた「誰も傷つかない完璧なシステム」は、彼らの「今(心)」を強制的に奪い取ることでしか成り立たない、ただの傲慢な毒でしかなかった。負傷した兵士の言葉と、あの村の母親の空虚な笑顔が重なった瞬間、ユーリの正義は完全に終わりを迎えました。
倒れたシルヴィアの傍らで膝をつき、「何を間違えたんですか」と偽りのない空へ問いかけるユーリ。彼の心に落ちたどす黒い染みは、もう取り返しのつかないところまで広がってしまいました。
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