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夢操の檻 ―配られた夢と、誰も夢を見なくなった日―  作者: World of NariNari


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『夢操の檻』 第九部:鋼の雨と青き残像

カクヨムでも重複投稿しています

物語をお楽しみください

1. 振動する鉄の揺りかご

意識が浮上した瞬間、アキトを襲ったのは激しい振動と、骨の芯まで冷やすような金属の冷たさだった。 「……っ!? ……っ!」 無理やり起き上がろうとして、肺から空気が押し出される。背中を打っているのは、軍用ヘリの無骨な格子状の床だ。視界が激しく揺れ、鼻を突く燃料の臭いに吐き気がこみ上げる。


「起きたか。……気分はどうだ」

聞き慣れた低い声。レオンが、装備を整えながらアキトを見下ろしていた。 アキトは混乱していたが、だんだんと状況がつかめてくる。怒りと、それ以上に大きな「置いてけぼり」の恐怖を感じて、叫んだ。 「……何なんだよ、これは! ここはどこだ! どうして僕を勝手に……!」


「窓の外を見ろ」


レオンに促され、アキトは開け放たれたハッチの向こうに目をやった。 言葉を失った。


そこには、黎明の薄暗い空を埋め尽くすような、鉄の群れがあった。 数十、いや数百を超えるヘリや輸送機が、巨大な渡り鳥の群れのように編隊を組んでいる。最新鋭のステルス機から、どこかの博物館から引っ張り出してきたような無骨な旧式機まで、その形も国籍もバラバラだった。


機体には、様々な国の言語や、旧政府の青い紋章が刻まれている。この地域中の「抗う者たち」が、この瞬間に向けて集結していた。

「……今日、すべてが決まる」

レオンの声は、これまでにないほど重苦しく、そして静かな決意を帯びていた。

________________________________________

2. 絶望の要塞、ニューマザーズ

「ようやくお目覚めだね、お坊ちゃん」

機内の奥、ホログラムの地図を囲んでいたエレナが、鋭い視線を向けた。彼女の傍らには、すでに完全武装を整えたカイト、ハル、マリア、ジン、そしてミナが、彫像のように静かに座っている。


レオン、説明してくれ。これは、何が起きてるんだ!なんで何も言ってくれなかった!」 激昂し、掴みかからんばかりのアキトに対し、レオンは装備を整える手を止め、ただ静かにアキトを見つめ返した。その瞳には、嘘も、言い訳もなかった。

「――もし事前に言っていれば、お前は来なかっただろう?」

「なっ……」


「お前は、戦うことを拒んでいた。兵器じゃないと叫んでいた。……だから、騙してでも連れてくるしかなかったんだ。責めるなら俺を責めろ。だが、俺たちにはもう、お前のその『空っぽの力』に縋るしか道がないんだ」


レオンの声は、どこまでも冷徹で、そして、泣き出しそうなほどに切実だった。 アキトは言葉を失い、差し出されたレオンの手を握ることも、振り払うこともできずに立ち尽くす。


「本日、我々旧政府軍は、新政府の巨大拠点の一つ――海上都市『ニューマザーズ』を攻略する。この都市は長年侵攻を続けていて、こいつのせいで多くの同志を失った。」


「ニューマザーズ……」


「そうだ。あそこには、お前と同じように『良い夢』を持ったまま囚われ、洗脳を待つ人々が数千人も収容されている。そして情報によれば……その中にはお前と同じ、『夢が判別できない未知の器』を持つ人間が、他に七人いる。もし救出できれば大きな戦力になる。


エレナが地図を拡大し、作戦の詳細を話し始めた。 「通常、この都市を落とすのは不可能よ。新政府の絶対的なリーダーがそこにいるからね。だが、今日だけは違う。リーダーは今、別の幻の主要都市へと移動している。その年はカナンというのだけど、まだ誰も場所をわりだせていないわ。けど、ここニューマザーズを攻略すれば何か手掛かりがつかめるかも。」


エレナの指が、都市中央にそびえ立つ白亜の司令塔を指す。 「深部に潜伏している内通者から、詳細な防衛配置と兵装データは入手済みよ。まず、新政府の偽装を施した無人機が司令塔へ特攻し、大混乱を巻き起こす。敵の指揮系統が麻痺した一瞬の隙を突き、我々全機がメインストリートへ強行着陸、ヘリを並べて即席の防壁――『簡易要塞』を作るの」

「人は無駄に殺さない」とジンがパイプを噛み締めて付け加えた。 「地下の電源室を爆破して全機能を停止させ、特殊能力者たちが夢を持つ者の位置を特定する。軽装兵が彼らを十数分で救い出し、すぐさま撤退する。一撃離脱、それだけが我々の勝機だ。もし今日せめても1週間後には修復されているだろう。しかし、攻め落とすことに意味があるのではない。要塞都市を攻略できる我々の力を示すことが大切なんだ。」



「初戦の準備はいいか?アキト。」

レオンはアキトに初めて人間らしい笑顔を見せた。

ご覧いただきありがとうございました。


いよいよ物語序盤は最大の決戦、海上都市『ニューマザーズ』の電撃攻略作戦へと突入します!


前半のアキトの「重さから解放される蒼い夢」の静けさから一転、ヘリの爆音と燃料の臭い、そして空を埋め尽くす無数の戦闘機の群れという、大スケールの戦場前夜を描きました。


何も知らされず、騙されて戦場へと運ばれたアキト。

激怒する彼に対して、レオンが放った「もし事前に言っていれば、お前は来なかっただろう?」というセリフ。綺麗事だけでは新政府に勝てない、旧政府軍の「切実なエゴと残酷さ」を象徴する、個人的にも非常に魂を込めた掛け合いです。


そしてラスト、アキトに対してレオンが初めて見せた『人間らしい笑顔』。

これがアキトの心を救う本物の絆の笑顔なのか、それとも、アキトを戦場で完璧な兵器として踊らせるための『冷徹な演技』なのか……。

ぜひ皆さんの目で見届けていただければ幸いです。


「レオンのセリフの切れ味がヤバすぎる……!」「アキトの初陣がどうなるのか気になる!」と思ってくださった方は、ぜひ下方の【ブックマーク】や【評価(☆☆☆☆☆→★★★★★)】をポチッと押していただけると、ここからの激しい戦闘描写を書き抜く最強のエネルギーになります!


鋼の雨が降り注ぐ、海上要塞での死闘。次回をお楽しみに!

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