『夢操の檻』 第一部:灰色の空と虹の街 第2話
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SFや終末世界、ディストピアが好きな人におすすめです
3. ニューソウル、黄金の門
それは、蜃気楼か何かだと思った。 荒野の先に、巨大な光のドームが鎮座していた。夜の闇を拒絶するように、数千、数万の電飾が瞬いている。
「……街だ。生きてる街がある……」
アキトは走った。ボロボロになった靴の底が剥げ、足から血が流れても構わなかった。近づくにつれ、その威容が明らかになる。 それは、最新のテクノロジーによって守られた巨大要塞都市。
周囲を高さ100メートルはあろうかというガラスのドームが囲み、その内側には、かつての文明をさらに進化させたような高層ビル群が立ち並んでいる。
アキトはこれまでにないほど心を躍らせた。今すぐ走っていきたい気持ちだがこらえる。彼はここ数か月で夜の街の危険さは十分分かっているつもりだ。
高鳴る鼓動を落ち着かせ明日の朝市の出発に向けて少ない荷物をまとめる。足の傷を手早く処置した後、徘徊者の靴を拝借した。その日寝床に潜った彼の様子はまるでクリスマスイブにはしゃぐ子供のようだった。
アキトが辿り着いたのは、街の南側に位置する「第十二管理ゲート」だった。 そこには、重厚な鋼鉄の扉がそびえ立っている。戦車の砲撃でもびくともしないであろう、鈍い銀色に光る厚いドア。 その前には、白地に金の刺繍が入った軍服のような制服を纏った、武装した兵士たちが立っていた。
「止まれ、生存者。これ以上は『検問』の対象となる」
拡声器を通した声が響く。アキトは思わず、その「人間の声」の響きに涙が出そうになった。 兵士の一人が、アキトに向けて奇妙なデバイスを突きつけた。
「これから『夢の純度』を測定する。動くな」
デバイスから放たれた青いレーザーが、アキトの網膜を走る。 アキトは心臓が口から飛び出しそうだった。自分の夢が何なのか、自分でも分かっていない。もし、ここで「不合格」と判定されたら、またあの灰色の地獄に逆戻りになってしまうのか?
「……測定終了。脳波、正常。前頭葉の活動、基準値以上。……こいつ、未覚醒だな。『夢』の種を持っているぞ」 「通してやれ。新市民候補だ。いい戦力になるぞ」
(戦力…?いったい何のことだ?)
この疑問も一瞬で無くなった
重々しい駆動音とともに、巨大な鋼鉄のドアが左右に開いた。 プシュッ、という空気の抜ける音が響き、内部の加圧された空気がアキトを押し戻す。 その向こう側に見えたのは、光り輝く「楽園」だった。
続編も是非読んでください。




