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第13章 新たな社名

第13章 新たな社名

都市再生連合の発足から半年後。

桜井工務店の本社会議室では重要な会議が開かれていた。

議題は一つ。

社名変更である。

創業以来続いてきた「桜井工務店」という名前。

父・健一が築き上げた会社の歴史そのものだった。

しかし会社はすでに工務店の枠を超えていた。

AI住宅設計。

マンション再生。

都市再生プラットフォーム。

建築DX。

全国展開。

事業領域は急速に拡大している。

役員の一人が発言した。

「もはや工務店という名称では事業内容を表現できません。」

別の役員も頷いた。

「自治体や海外企業との協議でも、工務店だと思われることがあります。」

美咲は静かに聞いていた。

社名変更は単なる看板の掛け替えではない。

会社の未来を示す決断だった。

会議の最後。

美咲は一枚の資料をスクリーンに映した。

そこには新しい社名が表示されていた。

SAKURAI Urban Renewal Holdings (サクライ・アーバンリニューアル・ホールディングス)

日本語表記は、

サクライ都市再生ホールディングス株式会社

会議室は静まり返った。

やがて拍手が起こる。

誰も反対しなかった。

その名前には会社の未来そのものが込められていた。


数週間後。

東京で記者会見が開かれた。

全国の報道陣が集まる。

壇上に立った美咲は力強く宣言した。

「私たちは工務店から生まれました。」

「しかしこれからは都市再生企業として新たな挑戦を始めます。」

スクリーンには新しいロゴが映し出された。

都市のシルエット。

建物を支える骨格。

そして再生を意味する円環。

記者から質問が飛ぶ。

「なぜ社名を変更したのですか。」

美咲は答えた。

「私たちの使命が変わったからです。」

「家を建てる会社から、人々の暮らしと都市を未来へつなぐ会社になります。」

翌日の新聞各紙は大きく報じた。

『桜井工務店が社名変更』

『都市再生企業へ転換』

『AI再生技術で全国展開』

株式市場でも注目を集めた。

金融機関や投資ファンドからの問い合わせが急増する。


そして新会社発足後、最初の経営計画が発表された。

第一事業本部

AI住宅事業

個人住宅の設計・建築・リフォーム

第二事業本部

マンション再生事業

老朽マンションの再生プロジェクト

第三事業本部

都市再生事業

オフィスビル・商業施設・病院・学校の再生

第四事業本部

AI建築プラットフォーム事業

設計AI・施工管理AI・建物診断AIの提供

第五事業本部

海外都市再生事業準備室

アジア・欧米市場への展開


新本社の最上階。

夜景を見ながら美咲は一人で考えていた。

二十年前。

父の工務店は赤字続きだった。

社員十名。

地域の小さな会社。

それが今では全国規模の企業へ成長している。

デスクの上には父の古いノートが置かれていた。

最後のページに書かれた言葉。

『家は商品ではない。そこに暮らす人の未来である。』

美咲は微笑んだ。

「お父さん。」

「今度は街そのものの未来をつくるよ。」

その頃、国土交通省では都市再生に関する新たな政策検討会が始まっていた。

大手ゼネコン。

金融機関。

自治体。

そしてサクライ都市再生ホールディングス。

日本全体を巻き込む国家規模の再生計画が動き出そうとしていた。

美咲の挑戦は、まだ始まったばかりだった。

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