97話「階層守護個体、湿原王鰐」
第十二層の先行調査から、二日後。
俺たちは再び、第十一層の階層守護部屋へ来ていた。
先日の調査映像や採取した素材の解析が終わり、第十二層の攻略を目的とした追加調査が正式に承認されたからだ。
「今回の調査では、階層守護個体との戦闘も許可されています」
髙橋さんが、携帯端末へ依頼内容を表示する。
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『第12層・攻略調査』
『依頼対象』
・クラン『蒼雪の宝珠』
『調査内容』
・安全経路の延長
・未確認魔物の調査
・階層守護個体の確認
・第12層の踏破
『最大調査時間』
・180分
『注意事項』
・通信中断時は即時帰還
・階層守護個体との戦闘は任意
・撤退を優先した場合も契約違反とはならない
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「守護個体を見つけても、戦う必要はないんですね」
「はい。危険度や周囲の地形を確認し、勝算がないと判断した場合は帰還してください」
「分かりました」
先行調査で確認したのは、全長十メートルを超えるワニ型魔物の痕跡だけ。
実際の能力は、まだ分からない。
水中で戦うことになるなら、こちらが不利になる可能性も高かった。
泥濘へ足を取られないよう、俺と美咲さんの靴には湿地用の靴底を取り付けている。
毒沼蛇に備え、解毒薬も多めに用意した。
「探索レコーダーの準備も完了しています」
俺たちの頭上には、二機のドローン型探索レコーダーが浮かんでいた。
一機は、クランの動画撮影用。
もう一機は、髙橋さんが操作する調査課の正式調査用だ。
「今日は守護個体との戦闘になる可能性があります。二機とも、魔物から十分な距離を取らせます」
「お願いします」
「ぷるっ!」
「ぴるっ!」
シズクとユキも、準備ができたと伝えるように身体を伸ばす。
「それじゃ、行こうか」
「はい」
俺たちは、蒼銀色の転移門へ触れた。
二機の探索レコーダーも、俺たちに続いて第十二層へ入る。
◇
灰色の霧と、濁った泥水。
前回と変わらない水没湿原が広がっていた。
調査課が作成した仮地図と、俺の『解析鑑定』を照らし合わせながら、安全を確認できている経路を進む。
先行調査で設置した目印まで、魔物との戦闘は二度あった。
一度目は、泥の甲羅を持つ泥甲亀。
二度目は、水中へ身体を隠す毒沼蛇。
どちらも、美咲さんの危険感知の耳飾りとユキの白銀鎧によって、奇襲を防ぐことができた。
シズクには魔力を温存してもらい、俺と美咲さんで倒している。
「ここから先は、まだ調査されていない場所ですね」
「うん。前回、ワニ型魔物の足跡を見つけたのもこの先だよ」
転移門から四百六十八メートル。
目印の先には、底の見えない大きな沼が広がっていた。
先日残されていた足跡は、雨に濡れたように形を崩している。
代わりに、沼の反対側へ新しい引きずり跡が続いていた。
「守護個体が、また通ったみたいだ」
「追い掛けますか?」
「まずは、周囲に別の魔物がいないか確認しよう」
第十二層へ『解析鑑定』を広げる。
沼の中には、小さな魔力反応がいくつも存在していた。
泥甲亀。
毒沼蛇。
魚に似た魔物も泳いでいる。
だが、十メートルを超えるワニ型魔物の反応は見つからない。
「今は、この沼にいないみたいだ」
「では、引きずり跡に沿って進みましょう」
「うん。ただし、水辺には近付き過ぎないようにしよう」
沼の外周を回り込み、地盤の硬い場所を選んで進む。
クラン用の探索レコーダーは俺たちの斜め後ろ。
調査課の機体は上空から、水深や魔力反応を記録していた。
『進行方向、約百二十メートル先から霧が濃くなっています』
髙橋さんの声が聞こえる。
「こちらでも確認しました。風の流れが止まっています」
『視界が確保できない場合は、無理に進まないでください』
「分かりました」
巨大な睡蓮の葉を避けながら、霧の中へ入る。
視界は十メートルほどしかない。
調査課の探索レコーダーも高度を下げ、俺たちの少し前を飛び始めた。
「ぷる……」
美咲さんの肩にいるシズクが、霧の奥へ身体を向ける。
「何か感じるの?」
「ぷるっ」
シズクの従魔核から、僅かに風属性の魔力が広がった。
周囲の霧が揺れ、奥から黄緑色の光が見える。
「癒光蛍です!」
癒光蛍が二体。
その前には、泥甲亀が三体並んでいた。
甲羅同士を重ね、霧の奥へ続く道を塞いでいる。
「俺たちに気付いてる。避けるのは難しそうだ」
「シズクの魔力は温存しますか?」
「うん。癒光蛍は俺が倒す。美咲さんは泥甲亀をお願い」
「分かりました!」
「ユキは美咲さんの援護を頼む」
「ぴるっ!」
泥甲亀が、甲羅の中へ身体を引っ込める。
次の瞬間、三体が水面の上で回転を始めた。
「来ます!」
回転する甲羅が、美咲さんへ迫る。
美咲さんが盾を斜めに構え、一体目を横へ受け流した。
二体目は黄金短剣で軌道を逸らす。
三体目が死角から迫るが、美咲さんの左右へユキの白銀鎧が移動した。
「ぴるるっ!」
半透明の装甲が甲羅を受け止め、衝撃を軽減する。
「ありがとう、ユキ!」
その間に、羽靴へ魔力を流す。
泥甲亀の頭上を飛び越え、後方にいる癒光蛍へ近付いた。
癒光蛍が強い光を放つ。
だが、位置は『解析鑑定』で確認できている。
白銀短剣を振るい、一体目の魔核を貫く。
二体目が逃れようと高度を上げた。
魔鋼短剣を投げる。
回転しながら飛んだ刃が、群れの中央にある魔核へ突き刺さった。
癒光蛍が光の粒子へ変わる。
「支援してる魔物は倒した!」
「こちらも終わります!」
美咲さんが盾で強打し、泥甲亀を裏返す。
露出した腹部へ黄金短剣を突き立て、魔核を破壊した。
残る二体も、俺たちが合流して仕留める。
「怪我はない?」
「ありません。ユキが守ってくれました」
「ぴるっ!」
「シズクも周囲を見てくれてありがとう」
「ぷるるっ!」
ドロップ品を回収し、霧の先へ進む。
◇
転移門から、1.6キロ。
霧を抜けると、周囲の景色が大きく変わった。
背丈よりも高かった葦が途切れ、円形の大きな沼が広がっている。
沼の中央には、平らな岩でできた小島。
その奥には、巨大な石造りの門が立っていた。
門の上部には、大きく口を開いたワニの紋章が刻まれている。
「階層守護個体のいる場所みたいだ」
「ですが、姿が見えません」
円形の沼は静かだった。
水面には睡蓮の葉が浮かび、僅かな波紋もない。
二機の探索レコーダーが高度を上げ、沼全体を撮影する。
『水中の魔力反応を測定しています』
調査課の探索レコーダーから、複数の青い光が伸びる。
次の瞬間。
中央の小島付近から、巨大な魔力反応が現れた。
「水の中にいる!」
水面へ、二つの黄色い目が浮かぶ。
目と目の間だけで、人間の肩幅を超えていた。
巨大な身体が、泥水の中から少しずつ姿を現す。
黒緑色の鱗。
何本もの牙が並んだ口。
背中には岩のように硬い突起が連なっている。
現れたワニ型魔物へ、『解析鑑定』を発動させた。
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『第12層・階層守護個体』
『湿原王鰐』
『危険度:B-』
『湿地環境下における総合危険度:B』
『特性』
・泥水擬態
・湿地完全適応
・水圧感知
・王鰐硬鱗
・巨体再生
『技能』
・潜水強襲
・尾槌
・泥鎧
・濁流
・死旋回
『弱点』
・目
・口内
・腹部
・急激な温度変化
『注意』
・水中での移動速度が大幅に上昇
・噛み付かれた場合、死旋回へ移行
・氷属性による移動阻害が有効
・火属性を受けた場合、周囲へ水蒸気が発生
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「危険度はB-。湿地の中ではB相当です」
『B……』
髙橋さんが息を呑む。
『撤退しても構いません』
「まだ、こちらには気付いていません。少しだけ作戦を考えます」
湿原王鰐の硬い背中へ、正面から刃を通すのは難しい。
弱点は、目、口内、腹部。
だが、どこを狙うにしても巨大な牙と尾を避けなければならない。
「シズクの氷槍で、水中の動きを止める」
「ぷるっ」
「完全には凍らないと思う。動きが鈍ったところで、俺と美咲さんが陸地へ引き付けよう」
「陸へ上がれば、危険度を下げられるんですね」
「うん。水中で戦うよりは、ずっと良いと思う」
「ユキは、尾の攻撃を警戒してくれる?」
「ぴるっ!」
美咲さんが盾を構える。
俺も、白銀短剣と魔鋼短剣を抜いた。
「戦います」
『分かりました。危険を感じた場合は、すぐに撤退してください』
「はい」
中央の沼へ近付く。
湿原王鰐の黄色い目が、ゆっくりと俺たちへ向いた。
「シズク、沼の中央へ氷槍!」
「ぷるるっ!」
青白い槍が、湿原王鰐のいる水面へ突き刺さる。
強い冷気が広がり、濁った水が一気に凍り始めた。
湿原王鰐の背中が氷へ覆われる。
だが、巨大な身体が大きくうねった。
水面を覆っていた氷へ亀裂が走る。
「来る!」
氷を突き破り、湿原王鰐が飛び出した。
全長十メートルを超える巨体が、俺たちのいる岸へ迫る。
狙われているのは、美咲さんだ。
「こちらです!」
美咲さんが盾を構え、横へ走る。
湿原王鰐が大きく口を開いた。
盾へ、上下から牙が食い込む。
「美咲さん、盾を離して!」
「はい!」
美咲さんが、迷わず盾から手を離す。
直後、湿原王鰐が身体を激しく回転させた。
噛み付いた盾が振り回され、泥水の中へ投げ飛ばされる。
もし手を離すのが遅れていたら、美咲さんまで巻き込まれていた。
「盾はあとで回収しよう!」
「分かりました!」
美咲さんが腰からスライムの短剣を抜く。
右手には黄金短剣。
左手にはスライムの短剣。
二本の短剣を構え、湿原王鰐と向き合った。
湿原王鰐が尾を持ち上げる。
「ぴるるっ!」
ユキの白銀鎧が、美咲さんの左右へ移動した。
巨大な尾が横薙ぎに振るわれる。
二枚の装甲が重なるように尾を受け止め、衝撃を左右へ逃がした。
それでも、ユキの身体が泥水の上を滑る。
「ユキ!」
「ぴるっ!」
すぐに身体を起こして返事をする。
怪我はない。
白銀鎧にも、僅かな傷が付いただけだった。
「シズク、火球を背中へ!」
「ぷるっ!」
赤い火球が、湿原王鰐の背中へ命中する。
濡れていた鱗が急激に熱せられ、大量の水蒸気が発生した。
白い蒸気が周囲へ広がり、湿原王鰐の姿を覆い隠す。
「次は風弾! 蒸気を吹き飛ばして!」
「ぷるるっ!」
風弾が弾け、白い蒸気を一気に押し流した。
湿原王鰐の背中を覆っていた泥が、熱によって乾いている。
「シズク、乾いた泥へ石弾!」
「ぷるっ!」
圧縮された石弾が、赤く熱せられた背中へ激突する。
乾いた泥鎧が砕け、その内側にある黒緑色の鱗へ亀裂が走った。
「今なら刃が通る!」
羽靴へ魔力を流し、湿原王鰐の背中へ向かって跳ぶ。
クラン用の探索レコーダーが俺を追い、調査課の機体が湿原王鰐の攻撃範囲から離れるように高度を上げた。
亀裂へ白銀短剣を突き込む。
「『腐食』!」
刃から広がった効果が、硬い鱗を内側から脆くする。
湿原王鰐が身体を大きく捻った。
「陸斗さん、離れてください!」
背中から跳び下りる。
直後、湿原王鰐が泥の上で身体を回転させた。
砕けた鱗と泥が周囲へ飛び散る。
俺は羽靴で距離を取り、美咲さんの隣へ着地した。
「傷は付けられた」
「同じ場所を狙えばいいんですね」
「うん。二人で行こう」
黄金短剣と白銀短剣が近付く。
それに反応し、二本の刃から金色と銀色の光が広がった。
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『金銀共鳴:発動』
『連携補助:有効』
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湿原王鰐が、再び泥水へ身体を沈める。
大きな身体が、完全に水中へ消えた。
水面に見えるのは、いくつもの波紋だけ。
「左から来る!」
『解析鑑定』へ表示された軌道を確認し、美咲さんと左右へ分かれる。
湿原王鰐が水中から飛び出す。
牙が、直前まで俺の立っていた場所を噛み砕いた。
「ぴるっ!」
一枚の白銀鎧が湿原王鰐の下顎へぶつかり、顔の向きを僅かに逸らす。
もう一枚は、美咲さんを狙う尾の進路へ移動した。
「ありがとう、ユキ!」
湿原王鰐の背中が、俺たちへ向く。
「今です!」
美咲さんが、湿原王鰐の側面から跳び上がった。
俺が『腐食』を付与した亀裂へ、黄金短剣を振り下ろす。
「『粉砕』!」
金色の光が弾け、脆くなった鱗が大きく砕けた。
湿原王鰐の身体が、痛みに反応して持ち上がる。
鱗の内側へ、淡い赤色の魔核が見えた。
「魔核が露出した!」
だが、湿原王鰐も動きを止めていない。
口を開き、美咲さんへ噛み付こうとする。
「美咲さん、そのまま下がって!」
「はい!」
美咲さんが背中から飛び下りる。
湿原王鰐の顔が、美咲さんを追うように動いた。
俺は反対側から羽靴で跳び、露出した魔核へ白銀短剣を突き込む。
「『加速』!」
刃が急激に速度を上げる。
白銀短剣が、魔核の表面へ届いた。
硬い音が響き、魔核へ亀裂が走る。
まだ砕けていない。
湿原王鰐が身体を捻り、俺を振り落とそうとする。
「陸斗さん!」
美咲さんが、再び踏み込んだ。
金銀共鳴によって、黄金短剣の軌道が白銀短剣の突き込まれた場所へ重なる。
「これで終わりです!」
黄金短剣が、魔核の亀裂へ突き立てられた。
金色と銀色の光が同時に弾ける。
湿原王鰐の魔核が、内側から砕けた。
巨大な身体が泥水へ倒れ、大きな水柱が立ち上がる。
最後に尾が一度だけ水面を叩き、湿原王鰐は黒緑色の粒子となって崩れていった。
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『第12層・階層守護個体』
『討伐:完了』
『第12層踏破:完了』
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「倒せた……!」
美咲さんと一緒に、泥水から離れる。
「全員、怪我は?」
「私はありません」
「ぷるっ!」
「ぴるっ!」
シズクとユキも無事だ。
ただし、シズクの身体から放たれる光は、先ほどよりも弱くなっている。
「シズクは、魔力をかなり使ったみたいだ。もう魔法は使わないようにしよう」
「ぷるっ」
「お疲れさま。よく頑張りましたね」
美咲さんがシズクを抱き上げ、従魔用ゼリーを与える。
ユキの白銀鎧にも、尾槌を受けた場所へ細かな傷が付いていた。
「ユキの装備も、帰ったら店主さんに見てもらおうな」
「ぴるっ」
『階層守護個体の討伐を確認しました!』
髙橋さんの声が、通信機から聞こえる。
『全員が無事で、本当によかったです』
「軽盾と白銀鎧には傷が付きましたが、怪我はありません」
『装備についても、地上で詳しく確認しましょう』
泥水へ投げ飛ばされた軽盾は、岸辺の水草へ引っ掛かっていた。
表面には牙の跡が残っているものの、完全には壊れていない。
「修理すれば、まだ使えそうです」
「噛まれた時、すぐに手を離してくれてよかった」
「陸斗さんの声が聞こえましたから」
美咲さんが、少しだけ照れたように微笑む。
湿原王鰐が消えた場所には、複数のドロップ品が残されていた。
良質な魔核。
大きな王鰐の牙。
折り畳まれたような、黒緑色の皮。
皮へ『解析鑑定』を発動させる。
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『湿原王鰐の耐水皮』
『品質:A』
『希少度:A』
『推定買取価格:820,000円』
『効果』
・水属性攻撃軽減
・泥濘による劣化を軽減
・防水性能:極めて高い
『用途』
・探索防具
・耐水外套
・水中用装備
・魔法鞄の外装素材
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守護部屋の奥には、第十三層へ続く蒼銀色の転移門が揺らいでいた。
その先に、どのような環境や魔物が待っているのかは分からない。
俺たちは第十二層で得た素材を回収し、帰還用の転移門へ触れた。
次に挑むのは、第十三層。
シズクとユキの成長に必要な物が、その先にも待っているような気がした。
「推定買取価格は八十二万円。水や泥に強い防具へ使えるみたいだ」
「今後の階層でも使える可能性がありますね」
「うん。すぐに売らず、クランで保管しておこうか」
「私も賛成です」
良質な魔核と王鰐の牙も、魔法鞄へ収める。
守護個体が消えた中央の小島には、二つの転移門が現れていた。
一つは、第十一層へ戻る青い転移門。
もう一つは、第十三層へ続く蒼銀色の転移門。
同時に、『解析鑑定』の表示が切り替わった。
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『第12層・先行攻略条件達成』
『第12層の入場条件を変更します』
『スライム系従魔・同行条件』
・解除
『探索者協会登録調査隊』
・進入可能
『一般探索者』
・現在封鎖中
・探索者協会による安全性評価後に開放可能
・第11層踏破記録が必要
『次回先行攻略対象』
・第13層
『第13層入場条件』
・条件達成者
・条件達成者と同一の登録パーティー
・条件達成者を含む登録クラン
・条件達成者を含む登録共同探索隊
・利用資格を持つスライム系従魔の同行
____________________◇
「第十二層の制限も解除されました」
『確認しました。第十三層へは進まず、そのまま帰還してください』
「分かりました」
二機の探索レコーダーが、蒼銀色の転移門を異なる角度から撮影する。
その向こうに、どのような環境や魔物が待っているのかは、まだ分からない。
「次は、第十三層だね」
「はい。ですが、今日は帰りましょう」
「ぷるっ!」
「ぴるっ!」
シズクとユキも、俺たちの言葉へ返事をする。
今日は階層守護個体との戦闘を終え、シズクの魔力も減っている。
新しい階層へ踏み込む状態ではなかった。
俺たちは第十二層で得たドロップ品と、二機の探索レコーダーが正常に作動していることを確認する。
次に挑むのは、第十三層。
その先にも、シズクとユキの成長へつながる何かが待っている。
そんな予感を抱きながら、俺たちは青い転移門へ触れ、第十一層へ戻った。




