実施
「こちらとこちらの鳥霊が今回契約したいとの事です。
契約内容としては、お二人が魔力を定期的に提供する代わりに、使い魔達は情報提供的なお手伝いをするのがメインで、他者に害を与えたり、悪戯したり、嘘をつかないのも条件に含まれるということで良いでしょうか?」
今回契約する2体の霊に残ってもらい、残りの霊には遊びつつ手伝いする気がある子達には聖域の中に先に入っておいて貰ってから、ピンバッチ選びが終わった藤山夫妻に声を掛ける。
「それでお願いする」
碧パパが頷いた。
「では、ちょっと順番に手を握らせてもらいますね〜。
魔力を少し引き出しますので抵抗しないで下さい」
まず碧ママの手を取る。
『魔力を対価とした使い魔契約。
情報提供が主な役割。
使い魔は主を含める他者を害したり、命令なしに悪戯を仕掛けたり、嘘をついてはいけない。
主は使い魔が弱る前に魔力の補給を行う。それが出来なかった場合は使い魔は契約を解除もしくは停止出来る。
両者はこれに合意するか?』
「するわ」
『するよ』
合意の意思が両方から確認されたことで、碧ママの魔力を使って合意をなぞることで、使い魔契約が成立した。
黒魔術師以外だと契約前の段階で動物霊としっかり意思疎通するのが難しいから、色々と複雑な契約用の魔法陣(こっちなら符かな)が必要になるせいで現世では殆ど廃れている様だが、黒魔術師を介すると使い魔契約ってとっても簡単なんだよね〜。
考えてみたら、退魔協会はこの事を知っているんかな?
知っていたら調査員の黒魔術師を使って多種多様な使い魔を契約して、色々と情報収集してそうなもんだけど。
盗聴器を使っている事を鑑みるに、使い魔との契約の仕方は黒魔術師の情報を伝えている一部の古い家系以外では失われているのかも。
まあ、今の時代だったら使い魔なしでも情報収集はいくらでも出来るからね。余計なことは言わないのが正解でしょう。
と言うことで、次に碧パパの手を取って碧ママと同じことをする。
「はい、これで終わりです。
情報提供としては人や物を探してもらうとか、探している間や見つかった後に視界共有するなんてことも可能です。ただ、慣れるまでは中々使いにくいので、緊急事態になって本気で必要になる前に練習しておくことをお勧めします」
二人に追加で説明しておく。
鳥の視点って人間と違うから、視界共有して空を飛ぶのも慣れないうちは目が回るんだよね〜。
しかも何かをやっている最中で自分の視界と使い魔の視界とを両方見なきゃいけないとなると、場合によっては頭がくらくらしたり、頭痛が起きたりするし。
考えてみたら、複数の使い魔を使う際に視界共有は1体ずつにするよう、言っといた方が良いかも。
まあ、これは早くても来月のことだけど。
「じゃあ、あなたはピーちゃんで良いかしら?
ちょっと視界共有しながらここら辺を飛んでみてくれる?」
碧ママが早速自分の使い魔に話しかけてている。
碧パパの方も、契約のリンクが落ち着いたので多分名付けを行ったと思うが、声を出していなかったので碧パパがつけた名前は不明だ。
碧パパの手の上からピンバッジが飛び出していったので、問題なく意思疎通は出来ているっぽい。
「これってこう、スポッとうっかりピンバッジから霊が抜け落ちちゃうなんてことはあるのかしら?」
碧ママが聞いてきた。
「うっかりは殆ど無いと思いますが、何処かに嵌っちゃったとか、家に置き忘れたけど至急に必要で霊だけを喚んだ時なんかには、躯体から霊が自発的に離れることも可能です。
普通に元に戻れる筈ですが、何らかの理由で上手くいかなかった場合は私に一声お掛けください」
次に来た時に手伝うから。
流石に躯体のリンクを直すためだけに東京から諏訪までは来ないかな〜。
「う〜ん……。
中々凄いねぇ。
なんかこう、ミニカメラなんて目じゃ無いレベルで出歯亀が出来ちゃいそうだけど、他の退魔師から密かに使い魔を使ってプライベートな生活を覗かれたりしてないかな?」
目を閉じて腕を組んでいた碧パパが、ちょっと心配そうに聞いてきた。
あ〜。
確かにストーカー気質な術師がいたら覗き見し放題だよね。
そこまで暇な人は居ないと思いたいけど。
「まず大丈夫だと思います場合によっては……。一応、白龍さまに本家の周りだけでも結界を張って貰ったら良いかもですね?」
まあ、術師だったら他者からの視線に敏感だと思うから、多分わかると思う。
ダメそうだった白龍さまに泣きつくしかないね!
白龍さまだったら手痛いしっぺ返し付きで天罰を下してくれるだろうし。
碧本人じゃなくても、両親がストーカーされたらきっと止めるでしょう。




