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続・転生しても、現代社会じゃ魔法は要らない子?! 〜と思ってたら実は仕事になった!  作者: 極楽とんぼ
生き霊は難しい

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やったね、原因不明だ!

 杉原氏の病室はナースステーションを通り過ぎた先の行き止まりに近い部屋だった。

 部屋に入る前に吉野さんがナースステーションに座っていた女性に声を掛ける。

「すいませ〜ん、杉原さんのお見舞いに来た、吉野と申します」


『あの人にバレない様に触れて』

 念話でクルミに頼む。


『了解にゃ〜。

 後でボーナス期待してるにゃ』

 隠蔽型の躯体に入ったクルミがそっと床を進んで女性の方に近づき、ズボンの裾で隠れた足元にくっ付いた。


「ご家族ですか?」

(今更??

 入院してから1ヶ月以上経ってるのに)

 看護士の内心の声がクルミ経由で聞こえてくる。


「いえ、隣人なんです。

 杉原さんが入院していると聞いたので、お見舞いに来ました。

 退院はいつになりそうか、ご存じですか?

 確かご家族の方が遠方だと仰ってましたから、なんでしたら退院時に車で迎えに来ようかと思って」

 吉野さんが応じる。


 おお〜、上手いね。

 それだったら退院時期を聞く口実になる。


 杉原氏から聞いたところだと、実家は新潟の方で、母親が認知症を患っており、父親と妹はその介護に忙しいらしい。

 とは言え、1ヶ月以上も昏睡状態で入院しているのに、最初の入院時にしか出てこないって良好な家族関係じゃあないんだろうなぁと想像出来るが。


 妹さんが見舞いに来ないことに関して、杉原氏は納得していると言うか期待していないようで、私も深くは尋ねなかった。


 結婚していない時点で、それなりに家族からは不満をぶつけられてそうだしね〜。

 新潟だからと言って実家が都市部ではなく田舎であるとは限らないけど、30年とか50年前の人口分布を考えると確率的には田舎な可能性が高く、そうなると息子が後を継がずに東京で家を買っていて(多分)、妻も子供もいないと言う状態は中年な杉原氏の親世代にしてみれば『甲斐性無し』もしくは『裏切り者』扱いなんじゃないかね?


 まあ、今時だと農家なんて先がないから後を継がずに都会で暮らせと言う高齢者も多いらしいけど。


「あ、そうなんですか? 良かった。

 退院できそうになったらご連絡するように、杉原さんにお伝えしますね!

 ただ……ちょっと現時点ではいつ退院出来るか不明なんですよ。

 ずっと昏睡状態なので。お見舞いに部屋に行くのは良いですし、話し掛けると聞こえているかも知れないので是非声をかけて欲しいのですが」

 看護士が困った様な顔で答えた。


 お!

 クルミ経由で読み取った情報によると、杉原氏の意識が戻らない理由が医者にも分かっていないらしい。

 一応植物人間として臓器移植を家族に勧めるほど脳の機能が低下している訳ではないが、特に露骨な破損や病巣は無いのに目覚めないので色々と原因を探すために検査をしたいらしい。だが何分家族が最初に来た時に断っていた上にその後全く顔を出さないので、最低限の延命以上の事が出来なくて医者も手をこまねいているらしい。


 ラッキ〜!

 これだったら、吉野さんが真摯に話し掛けていたらそれが聞こえて意識が戻ったって言う美談にして誤魔化せそう。


 最初の入院時にやったCTスキャンやレントゲンでは露骨に悪い部分は見つかっていないが、他に何か原因があるか調べる事が出来ていないので、碧が治してもバレないで済む。


『どうやら何が原因で昏睡状態なのか、分かってないみたい。

 これなら治しちゃっても大丈夫そう』

 碧に念話で伝える。


『それは良かった。

 ちなみに、こないだ凛が追い払った時は一旦体まで戻ったんだよね?』

 碧が聞いてきた。


『戻ったんですよね?』

 私も杉原氏に尋ねる。

 一応、押し戻した勢いで体まで帰れた筈だが。


『病院まで戻ったけど、体に入っても繋がる感じがしなかったから家に戻って、暇だったから吉野さんとウルフのところに行きました』

 杉原氏が答える。


 うう〜ん?

 もしかして、幽体離脱状態が解除できないのかな?

 体に触れたら普通はスポッと戻る筈んだけど。長時間体から離れていたせいで上手く嵌まらなくなっちゃったとか?


 取り敢えず、看護士から聞きたいことは聞けたので、先に杉原氏の病室へ入っておこう。

 扉が閉まっていたら開けるタイミングが面倒なのだが、幸いにもドアは開けっぱなしでカーテンだけ閉めてあったので、看護士がまだ吉野さんと話している間に出来るだけカーテンを動かさずに中に忍び込んだ。


 ベッドに横たわる中年男性の頭に碧が触れる。

『何が悪いのか、分かった?』


『う〜ん、ちょっとしたごく軽い脳挫傷の痕跡がある程度、かな?

 露骨に悪い箇所はないっぽい』

 暫く黙って杉原氏の枕元に立っていた碧が最終的に答えた。


『あらそうなんだ?

 だったら、無理やり霊体を体に戻せば目覚めるかな?』

 魂を体とち繋がりに干渉して昏倒させるのも覚醒させるのも、黒魔術師の得意とする技術だ。


 ただ、原因が分からずに霊体離脱していたんだったらまた霊体が抜け出しちゃうかもだから、少なくとも数日は病院で過ごしてリハビリでもした方が無難かも?




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>ちょっとしたごく軽い脳挫傷の痕跡がある 脳挫傷は軽くても深刻なのでは?
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