もう再会?!
「あれぇ?
また吉野さんの予約が入ってる。
ウルフ君の吠え癖が再発したんだって」
2日後、カリスマ祈祷師の予約を確認していた碧が声をあげた。
「えぇ〜??
あれを吠え癖って言うのは語弊があるよ。ウルフ君に対する侮辱だ〜」
思わずふざけて返したが、マジで吠える癖がついちゃったのかな?
「う〜ん、取り敢えず明日の最後の予約にして貰って、場合によっては吉野さんの家とか職場、もしくは通勤経路を一緒に移動してどこでその生き霊を拾っているのか確認してみる?」
碧が聞いてきた。
「しまったね〜。
もっとしっかりあの生き霊を捕まえて、なんで吉野さんにくっ付いて回っているのか確認するべきだったか。
取り敢えず。憑いているのが同じ人の霊で、単に体に返すだけでは解決しないなら、家やよく通る場所なんかに一緒に行くことになるかもだけど良いのかって確認しておいたら」
うっかり幽体離脱しちゃって戻れなくなった生き霊なら、引っ付いている相手から引き離して押し戻せば体に帰れる事が多いんだけど、駄目だったかぁ。
カリスマ祈祷師の値段で飼い主側の生き霊問題を解決するのはちょっと本来の目的とは違うんだけどね。
でもまあ、特に害のない生き霊じゃあ退魔協会が対応してくれるのにどれだけ時間が掛かるか分かったもんじゃないからね〜。
しかも高いし。
取り敢えず、明日会う時に生き霊問題を他の人に話そうとしないように意思誘導しておこう。
生き霊対策なら、ペットがいればカリスマ祈祷師に行けば安上がりに解決してもらえる!なんて話が広がっては困る。
まあ、カリスマ祈祷師だって極端に安い訳じゃないが。でも退魔協会に比べると圧倒的に割安だからねぇ。
「了解〜」
◆◆◆◆
翌日、昼前の11時半の枠で来た吉野さんの後ろには、先日見かけた中年男性の生き霊が浮かんでいた。
「あ〜。
やはり、同じ中年男性が憑いてますね」
唸っているウルフ君も少し諦めかけと言うか、ちょっとうんざりと言うかな雰囲気で、前回ほど本気で追い払おうとしてない感じ?
「前回ここに来た後に、病院には行ってないんですけどねぇ」
吉野さんが困った顔をしながら応じる。
まあ、元々人間ドックで行く様な病院やクリニックに、昏睡状態になって幽体離脱しちゃっている患者がいるとは思わなかったしねぇ。
どこで吉野さんに接触しているのか、聞いてみよう。
と言うことで。
魔力を込めて生き霊さんを捕まえる。
名前と住所と、どうして生き霊になって吉野さんに引っ付いているのか。
悪霊よりはマシとは言え、生き霊でも必ずしも理性的に自分の状況に関して応えられるとは限らないのだが、ちょっと魔力を提供してエネルギーを増やして探ってみたら、今回の生き霊からはちゃんと返事を貰えた。
あらら〜。
「どうも、吉野さんのお隣さんみたいですね。
杉原さんとおっしゃるらしいですが」
「え??
杉原さん、ですか?
そう言えば最近見かけていない、かも?」
吉野さんが目を丸くしながら応じた。
「どうも、病院で昏睡状態になっているみたいですね。
体から魂が離れて家に帰ってきたけど誰もいないから、お隣の吉野さんに憑いて回っていた様です」
ある意味、ウルフ君に吠えられるから、自分が居ることを認識してもらえて嬉しかったみたい。
ウルフ君と吉野さんにとってはストレスだっただろうけど。
しょうがないから、病院に行ってみるか。
『助けても良いですけど、無料サービスをすると業界団体から睨まれるので、後払いで良いですから治療費30万円でどうでしょう?』
杉原氏の生き霊に提案する。
生き霊状態の行動を覚えていない霊も多いけど、きっちり私との約束は忘れさせないよ?
『是非、お願いします!』
杉原氏の霊が私に縋り付く勢いで合意してきた。
「え〜と、〇〇中央病院に入院しているようなので、隣人のお見舞いという事で一緒に来ていただけます?
赤の他人が訪れても会わせてもらえるか、分からないですし」
吉野さんに声をかける。
「勿論です!
と言うか、ウルフが吠えている間ずっと昏睡状態で入院していたのだったら、多分意識が目覚めても体が弱っていて暫く動けないでしょうから、お見舞いはどちらにせよ必要でしょうし」
吉野さんが頷いた。
犬って病院の中に連れ込めるのかなぁ?
吉野さんは車で来たみたいだから、車の中で待っていて貰うかな?
幸いにも曇っているから、1、2時間だったら車の中で待たせても問題ないよね??




