どうしましょうね?
膀胱炎のニャンコの次は糖尿病のニャンコだった。
典型的なおデブちゃんで食べ過ぎなのが見ただけで分かる猫。この子は今回糖尿病を治して貰っても、また暫くしたら再発するんじゃないかなぁ。
「え〜と、体重制限というか、もっと運動をさせるべきとかって話は獣医さんからされましたか?」
碧がニャンコを連れて行った後、書類作業をしながら飼い主に尋ねてみる。
今時の獣医がどの位体重管理に関して踏み込むのか知らないけど。
人間のメタボ患者に色々と煩くなってきた日本だったら、明らかに餌をあげすぎで糖尿病になった猫のケースだったら、生活習慣を改善する様に助言するんじゃないの?
情報社会な現代で、生活習慣病やメタボの危険性が散々広められているのに人間が太り過ぎて糖尿病になるのは本人の自己責任だが、猫はそこら辺に関して自己責任というよりは飼い主の責任でしょう。そう考えると、人間よりも猫のメタボに関して医者(獣医)は健康指導をすべきだよね。
「ええ、まあ体重が理想値よりも多すぎとは言われましたが……。
猫ってあの位ふくよかな方が可愛いでしょう?」
飼い主が返す。
「猫はふくよかな方が可愛いと感じる飼い主の個人的な嗜好で食べさせ過ぎて、糖尿病になって寿命を短くするのは猫にとっては不幸なことかも?
まあ、思う存分食べさせて太く短く生きるのも幸せかも知れませんが」
人間が肥満になって太く短く生きるのは本人の自由だが、猫がそうなるのは本猫の選択じゃないんだけどね〜。
そう考えると、飼い主が責任を持って体重管理すべきだと思うよ〜。
まあ、野良猫として生きるよりは長生きしてるだろうけど。
飼い主がちょっとムッとした顔をしたので、それ以上は言わずに、軽い雑談をしながら時間を潰して碧が戻ってくるのを待ってお別れした。
また2、3年後に糖尿病になった〜って戻ってくるかもねぇ。
病気自体を碧が治すとしても、やっぱ体全体にガタがきて寿命が縮みそうな気がする。
まあ、思う存分好きなだけ食べるのも幸せな猫生かもだが。
そして今日最後の患者は『もしかしたら認知症かも?』と飼い主が悩んで連れてきたワンコだった。
「ウルフは凄く良い子で、今まで全然無駄に吠えたりしない聞き分けがいい子だったんです。それがここ1ヶ月ほど、矢鱈と吠えるようになっちゃって。
しかも場合によっては私に向かって唸るんです。
獣医さんは何か気に入らない事があるだけでしょうと言って、認知症じゃないと仰るんですが……」
ウルフ君の飼い主さんが、困った様な顔をしながら説明してくれた。
ウルフ君はそんな飼い主の後ろ辺り向かって唸りながらそこを不穏な感じに回っている。
認知症かぁ。
四六時中吠えたり、トイレ関連で粗相する様になったり、大変らしいよねぇ。
まあ、人間と違って鎖に繋いでおくとか、ケージに閉じ込めておけるので対処はしやすいかもだが。
ペットの寿命が伸びたお陰で、今までにはほぼ無かった健康問題も出てくるんだねぇ。
糖尿病よりも更に稀そう。
というか、ちゃんと躾けていないペットだったらボケたのか、単に粗相しちゃったのか、分からないだろうし。
ウルフ君の場合は飼い主としてはちゃんと躾けた自信があるから吠えたり唸ったりするのは認知症かと心配する様になったんだろうなぁ。
とは言え。
「え〜と。
認知症かどうかはちょっと分かりませんが。
現在吠えているのは大杉さんの後ろに生き霊が憑いているからだと思います。
犬よりも猫の方が敏感な事が多いんですが、どうやらウルフ君は視えるワンチャンな様ですね」
少し困った顔をしながら碧が大杉さんに告げた。
そうなんだよねぇ。
何かこう、ちょっと中年太りした男性の生き霊が大杉さんの後ろを憑いてきているのを、ウルフ君が吠えたり唸ったりして追い払おうと頑張っているっぽい。
ウルフ君がボケている可能性も完全には排除できないが、明らかに現時点ではストーカーしてるっぽい生き霊に向かって威嚇して吠えている。
「え?」
大杉さんが碧の言葉にあっけに取られた様な顔をして後ろを振り向いた。
生き霊は視えてないっぽいけど。
カリスマ祈祷師なんだから、碧に霊感があってもおかしくないよね?
生き霊に取り憑かれていると言われるのは想定外かもだが。
こっちもちょっと対処に困るんだよねぇ。
悪霊だったら払っちゃえばそれで終わりなんだけど、生き霊じゃあ払ってもまた戻ってくる可能性も十分あるからねぇ。
それこそ、大杉さんを祟り殺そうとしていて、大杉さんか生き霊かの命を選ばなきゃっていうんだったら、生き霊の体とのリンクを切って強制的に昇天させちゃうと言う最後の手段もありかもだが、そこまでの状況ではなさそうだからねぇ。
そうなると、生き霊って中々対応に困る。




