在庫と保管場所
明日から暫く諏訪なので、オーダーしてギフトカードの残高が減ったくせに物が届かない密林の注文に関しては状況確認と苦情の電話を入れてみたところ、『そちらは中国の業者からの発送なのですが、発送された形跡もないので注文を一旦キャンセルすることをお勧めします』と言われた。
はぁぁ??
確かに、色々と同じ様な物を見比べて一番安いのを選んだよ?
だけど、何も連絡も説明もなしに、物が来ないからキャンセルしたらどうかって密林も無責任すぎない??
運営会社なんでしょう???
「これがくると思って他のを買わずに待っていたんですが。
機会損失や想定通りに買った商品が届かないことで起きた不都合に関して、密林さんから補償はないんですか?!」
思わず電話のオペレーターに詰め寄る。
こう言うのって会社のポリシーだろうからオペレーターに文句を言ったって最悪カスハラ扱いかも知れないが、文句を言わなきゃ密林にもこちらの不満が伝わらないだろう。
『ギフトカードの残高にすぐに返金いたしますので。
それ以上に関しては、売主の方とご相談下さい』
まじか。
その売主が、注文を受けたのに何も言わずに物を送ってこないんだけど。
せめて、手違いで注文されて商品の在庫が無かったのでキャンセルしますと知らせてくるぐらいの誠意は見せて欲しかった。どう考えても、文句を言ったところでこんな売主じゃあ返事すらこなさそう。
しかもそれを知った上で、サイトの運営会社である密林も責任を取る気は無し。
マジで最近、密林のサービスレベルが下がってるなぁ。
何でもかんでも値段が安い日常品は買おうとすると中国産だし。
日本の産業、まずくない??
中国とは半分冷戦状態に近いぐらい関係が悪化してるのに、日常品をほぼ全て相手国に依存しているって。
日本もアメリカのアタオカ大郷領じゃないけど、もう少し国内の産業を守る為になんか手を打つべきなんじゃ無いかね。
まあ、産業を守らなかったお陰で工場とかもガンガン閉鎖され、仕事が無くなったせいで将来に希望を持てず氷河世代以降が子供をあまり産まなかったのもあって人口がどんどん減って今じゃあ工場を稼働させたくても人が集まらないみたいだけど。
AIを使った自動化が工場にも普及して必要な労働者数はどんどん減っているんだろうけど、これから工業の効率化と人口の減少とがちゃんとマッチしたペースで進むのか。ちょっとどころでなく、かなり不安だね〜。
農業なんて少子高齢化がマジでやばいレベルなのに、農林水産省は相変わらず新規参入とか企業による効率化を邪魔して10年後には半減してそうな小規模農家を優遇しているし。
まあ、私らに出来る事はあまり無いからね。
取り敢えず、密林のオペレーターが勧めた通り、注文をキャンセルしてリビングに戻った。
ちょっとがっくり来ちゃって買い直す気にもならない。
「無いわ〜」
ソファに身を投げ出しながら碧に愚痴る。
「何が?」
「注文した安物が、元々2週間後に到着予定って書いてあったんだけど、1ヶ月経っても来ないから密林に文句を言ったのよ。そしたら、オペレーターに中国の業者からの商品だけど発送された形跡がないからキャンセルをお勧めすると言われた」
大きなクッションの上で丸くなって寝ている源之助のベストショットを撮ろうとタブレットを色々な角度で動かしていた碧が手を止めて、こちらを見た。
「凛が怒っているって事は、遅れた分の補償とか代替品の提案もなし?」
「購入費の返金だけ。
1ヶ月分の利息もつかない」
まあ、3千円の1ヶ月分の利息なんて、微々たるもんだけどさ〜。
「密林ってそう言う債務不履行に対する補償ってないんだ?
酷いねぇ」
碧が溜め息を吐きながら頭をふり、源之助のベストショットの追求に戻る。
「マジでねぇ。
まあ、諏訪から帰ったらもう一度買うか、考えるわ。
どうせ1ヶ月なくても問題なかった物だから、急いで買う必要もないしね」
買い物って気分が乗った時に買わないと、やっぱ要らないかな〜と思えてくるんだよね。
「そう言えばさ、諏訪について思ったんだけど。
あっちに行ったらこれから暫くは聖域の雑草を出来るだけ多く刈り取ろう。そんでもって、それを保管する為に物置でも買わない?
冬の間もアイピローとクッションを売り続けるし、もしかしたら受注量を増やすかもって考えたら、今の時期にどれだけ多く収穫して保管しておけるか、確認する必要があるよね」
碧が指摘する。
「確かに、出来るだけ収穫するのは必要だと思うけど。
最近の猛暑だと、物置に入れておいても熱でやられちゃいそうじゃない?」
かと言ってちゃんとした蔵を聖域に設置するのは人の出入りが結界で制限されているし大型車両を乗り入れられないことを考えると難しいだろう。
『崖になっている部分を掘って洞窟を増やせば良かろう。
掘るのは儂がするから、洞窟の入り口を塞ぐ資材と扉だけ買っておけば修がなんとかするじゃろう』
突然ふっと現れた白龍さまが言った。
「あれ、父さんってそんな日曜大工っぽい事ができたんですか?」
碧が首を少し傾けて白龍さまに尋ねた。
誰かと思ったら、修って碧パパの名前だったっけ!?
忘れてた。




