血液検査
源之助の健康診断をした獣医が行った多頭飼育崩壊現場に関しては、それらしいのを青木氏が業界の伝手を使って探してみてくれる事になった。
ついでに多頭飼育崩壊の現場で霊障が起きているとそれこそ犬神氏の様な呪師を招き寄せる事になるから、さっさと退魔協会に清めの依頼を出すべきと言う話も広める事になった。
「お。
源之助の血液検査の結果が来た」
青木氏からの連絡を待っている間、いつもの様に符を描いていたらメールをチェックしていた碧が声を上げた。
「……何か気になるような情報はあった?」
一枚描き終えて、筆を置きながら聞き返す。
筆置き場と墨の入った硯には蓋をして、源之助が作業机の上に飛び乗っても悪戯できないようにしてからリビングに向かう。
符を乾かす場所は他の高い場所から離れた壁際に付けた棚の中。
ここは色々とおもちゃやお菓子を置いてみて、源之助がどうやっても飛び付けない事を確認してあるのでカバーを掛けなくても大丈夫だ。
筆や硯は蓋を被せる事で乾燥しない方が良いけど、符はさっさと乾いてくれる方がしまえるからね。
色々な試行錯誤の末に確立された解決策である。
それはさておき。
「ちょっと白血球が少なめで、赤血球が多めだって。
白血球に関しては特に問題なレベルじゃないけど、赤血球に関しては少し水分補給が足りなくて数値が高く出てるのかもって書いてある」
碧がメールを見ながら言った。
「へぇ?
実際に何か病気になったら碧が治せば良いけど、水分補給が足りないってことは、もっとウェットフードの量を増やすべきかな?」
ちなみに血液検査の結果は予約を入れて獣医に説明を受けるのでも、メールで受け取るのでもどちらでも可能と言われた。私達は先日の自分達の健康診断で退魔協会が契約しているクリニックのうちの一つに行ってかなり嫌な思いをしたので、メールで受け取る事にしたのだ。
健康診断は予約制だったのに受けるのに30分以上待たされた上、結果は内容をメールや郵送で受け取って問題があったら話を聞きに行くと言うのは許されず、予約なしで診療所に行って医者から説明と指導を受けながらでないとゲットできない形だったのだ。
結果を聞きに行くのに態々人が少ない時間帯を受付で聞いて行ったのに、それでも1時間以上も待たされた。
で、結果は『問題ないですね』で二人とも5分以下で終わり。
マジでそれだったらメールで送ってくるなり、さっさと他の患者を飛ばして結果だけ渡してくれって感じだよね?!?!
来年は絶対に結果の受け取りも予約ができる(若しくはメールで受け取れる)クリニックにしようと碧と二人で固く誓ったよ。
あれがちょっとトラウマになっていたので、多頭飼育崩壊のボランティア先に関して情報収集する為に獣医にもう一度会いに行くのもありかもとも思ったのだが、メールの結果で疑問点があったら質問しに来ても良いですよと言われたのでまずはメールで受け取る事にしたのだ。
「取り敢えず、昼に追加でチュ◯ルを水で溶いたのを出すか、ウェットフードを出すかしようか。
昼食の準備をしていると、源之助のご飯は出さないって言っているのに寄ってくるからいつも困ってたんだよね〜」
碧が言った。
「だね。
白血球が少ないとか、赤血球が多いとかって、碧的には何か感じ取れる?」
要観察ですらないようなので、まだどこにも不調は起きていないだろうから白魔術師でも中々難しそうだが。
「全然分かんないね〜。
水分補給を増やして3ヶ月後ぐらいにもう一度血液検査して、何かが大きく変わったとしても今の感覚を3ヶ月後まで覚えていられるかもかなり疑問な気がする。
もっとギリギリな体調じゃないと分からないみたい」
碧が溜め息を吐きながら言った。
「う〜ん、どこか動物保護団体みたいなところでボランティアしてみる?
保護されてすぐの動物ってきっと血液検査や健康診断をするだろうから、どんな感じだとどう言う病気って言うのの感覚が掴みやすいかも?」
流石に獣医のところで意思誘導を使って碧をバイトとして雇わせるのはバレたら不味いだろう。ボランティアだったら猫への溢れんばかりの愛を見せればやらせてくれるんじゃないかね?
「まあ、取り敢えずはまだ良いとしよう。
重篤な病気はそれこそカリスマ祈祷師で色々接触するようになって、大分と感覚が分かるようになってきたし」
碧が答えた。
確かに?
ヤバくて獣医に行っても治らないような重病患者が多いけど、少なくとも命に関わるようなのは色々と体験できてるよね。
そんな事を話していたら、電話が鳴った。
東京にいる期間だから、仕事が入ったか〜。
出来れば青木氏から連絡が入ったら直ぐに対処出来るような状態でいたかったんだけど。
まあ、泊まりがけの仕事を受けなきゃ大丈夫かな?
来週から諏訪の予定なんだけどねぇ。
考えてみたら、諏訪に行っている間に青木氏から連絡があったらどうせ対応が遅れたし、まあしょうがないか。




