捨てるか捨てないか、それが問題だ
「なんかこないだポイントが失効しそうだったから交換でゲットしたモバイルバッテリー、受け取ったばかりなのに表記されてるアンペア分まで充電してないっぽい〜」
今日は聖域で、浮遊霊の使い魔達に手伝ってもらいながら頑張って収穫した雑草を箱詰めして倉庫代わりのスペースにしまうのにほぼ1日掛けた。その間に外で携帯式ソーラーパネルを使って新しく入手したモバイルバッテリーを充電させていたのだが……充電中に確認の為に繋いでいた電圧電流チェッカーの数字を見て、思わず文句が溢れた。
「単に太陽光が足りなかっただけじゃ無いの?」
源之助のブラッシングをしていた碧が顔を上げずに聞き返す。
今の時期って冬毛が夏毛に変わるのか、それほど毛が沢山落ちているって訳じゃあ無いんだけどブラッシングするとそれなりに毛が抜けるんだよね〜。
抜け落ちた毛を集めて丸めてボールにすると源之助が熱心に追いかけて一人サッカーをしてくれるので、おもちゃゲットと抜毛回収とが両方出来て、この時期のブラッシングは一石二鳥なアクティビティだ。
「そう思ったから部屋に戻ってからコンセントで更に充電したけど、5000mAhの筈が4300ぐらいしか溜まらないで終わっちゃった」
2000円分しかポイントが無かったから、10,000mAhはゲット出来ず、5000mAhだったのはちょっと不満だったが、100円ショップで1000円で買った10,000mAhもよりもかなり小さく軽いので、悪くは無いかな〜と思っていたのだが。
入手直後からフル容量分に充電が出来ないってちょっと悲しい。
まあ、あまり使い道のないポイントでゲットしたモバイルバッテリーだから、タダで入手したと思えば4000mAhでも無いよりは良いけどさ。
「クレームつけて送り返してみたら?」
源之助がにゅろっという感じに碧の手元から離れたので、源之助を追い掛けて移動しながら碧が応じる。
「まあ、どうせ暫く使っていたら容量が減っていくから、交換して貰ったところで無駄な気もするし、面倒だから良いや。
100円ショップの10,000mAhのなんて、最近じゃあ半分以下しか溜まらないもん」
しかもあれはちょっと1、2回床に落としただけで残量を示すランプが点かなくなってしまったので、充電出来ているのか確認するために電圧電流チェッカーを買う羽目になったのだ。お陰で思っていた以上に充電出来る容量が減っていることも判明した。
「お願いだから、モバイルバッテリーが異様に熱くなるとか膨れてきたら捨ててね。
炎華のいる東京の部屋だったらまだしも、こっちでモバイルバッテリーが発火したらヤバいから」
碧がちょっと顔を顰めながらこちらを振り向いて言った。
『モフモフな使い魔が欲しい』とコメントした碧の言葉を受けて白龍さまが幻想界から連れて来た火の鳥系な幻獣の炎華は、熱をほぼ自由自在に操る。なのでエアコン代わりに完璧にマンションの部屋の温度管理をしてくれるし、当然火事なんぞ始まる前に止めてくれる。
が、一応東京のマンションの守りの意味もあって(本鳥が怠け者でマンションのクッションの上で昼寝するのが好き過ぎて外出を好まないと言う理由の方が大きいけど)あちらに残っているので、諏訪の部屋でモバイルバッテリーが火を噴いたら火事になる。
「勿論気をつけるよ。
なんかね〜、古くなって容量も減ったし危険かもだから捨てるべきかなぁとも思うけど、それでもまだスマホの充電に使えるから、それなりに役に立っていると思うと捨てるのも躊躇われるんだよねぇ」
最近は資源を大切にしましょうって話もよく聞くし。
中国がレアアースの輸出を戦略的に絞っているから、リチウムとかを無駄にするのも良く無いんじゃないかとも思えるし。中々悩ましい。
「まあ、使える物を捨てるのってなんか抵抗を感じるよね。
ついついまだ使えるからって残しているけど、そろそろ信頼性が落ちて来たからって新しいのを買って、微妙にゴミ未満な不要物が増えていくんだよね〜」
碧が笑いながら言う。
マジでそう。
今回のポイントでゲットしたモバイルバッテリーだって、100円ショップのが容量が減ったから買い足したんだし。
そんな劣化してきたけどまだ捨て辛い物の話をしていたら、碧のスマホが鳴った。
「げ。
退魔協会だ。
とうとう諏訪でも依頼の電話が来るようになった?!」
ありゃりゃ〜。




