気分転換とカロリー値
取り敢えず、生霊事件はこれで終わる筈。
少女へ掛けた術を再確認し、昏睡状態を緩めてぐっすり寝ているだけにする。
昏睡状態のまま放置して出て行ったら大問題になるからね。
とは言え、起きた時に私を見て文句を言われても面倒だから、母親がお見舞いに来て起こすまで、寝てて頂戴。
『誰か、この部屋と非常階段のドアのどちらかを見ている人はいる?』
廊下で見張りを頼んでいたハネナガに尋ねる。
『ちょっと待て。
……大丈夫だ、今は誰も見ていない』
よっしゃ。
と言う事で静かに部屋を出て、非常階段へ。
二階は外来フロアだから、そっちから普通に出ちゃえば良いかな。
態々警備のおっさんの前を再度通らなくても良いだろう。
帰りだったら一般の患者と一緒に出て行っても名前を書けとか言われない筈。
『暫くあの子が幽体離脱するかとか、なんか異常行動を起こしたりしないかとか、見張っておいてくれる?
どのくらいで退院するかも知りたいから、医者との話し合いがある様な場合も教えて』
ハネナガに対価の魔力を与えて頼んでおく。
問題なくちゃんと処置出来ているはずだけど、何事にも例外はあり得るからね。
一応確認しておこう。
本人が幽体離脱しなくなったのに人を突き飛ばしたりする様な行動を続けるとしても、自分の体でやる分には私の知った事じゃない。ただ、夢で被害者になる経験をしたら少しはマシになるのか、知っておきたいかな。
と言うか、ちょっと小突く程度ならまだしも生霊状態の時みたいに思いっきりやったら傷害事件になって、あっという間に少年院(少女院??)入りになりそうだけど。
『よかろう』
ハネナガが重々しく頷き、飛び立って行った。
またベランダの外に行くのかな?
病院の帰りにもう一度ショッピングモールに行って、ふらふらと何か面白いものが無いか見て回った。意外と時間が経っていて少し空腹感を感じたので、喫茶店に入ってお茶と一緒に柔らかいデニッシュにソフトクリームを乗せたお菓子を食べて帰る。
これって実は普通のケーキよりもかなりカロリー値が高いんだけど、ふんわかサクサクなデニッシュと、ソフトクリームの冷たい甘さが美味しいんだよねぇ。
今日はこれから20分ぐらい歩いて帰るんだし、あのミキとか言う少女への施術だってそれなりに魔力を使ったから、きっとカロリー消費量はトントンになるだろう。
願わくは。
20分歩いた程度じゃあ食べたカロリー値には全然足りない可能性は高いけど。
早歩きしたら、少しは運動量が増えるかな?
距離は同じだから、早歩きして短く終わっちゃう運動と、普通に歩いてもう少し長い運動とだと、カロリー消費的には違いがあるんだろうか?
明日に朝体重を測ってダメだったら、明日からまた頑張って運動しよう。
山登り代わりに駅ビルの階段でも頑張って登るのもありかも?
まあ、うちのマンションの階段を3往復するんでも良いかもだけど。四階を3回登り降りすれば、それなりな運動になるよね。
あのミキって子、ちょっとサイコっぽい傾向が強かったから、あの精神に触れて疲れたんだよね〜。
そう言う時には冷たくて美味しいデザートで気分転換が必要!
クレープでも良いんだけど、今日はクレープ屋のキッチンカーが来る日じゃないからねぇ。
自分への言い訳をしながら早歩きで家に帰る。
「ただいま〜」
「上手くいった?」
ソファの上に寝転がる源之助を床に跪いてブラッシングしていた碧が聞いてきた。
「多分?
ごく弱い黒魔術師の適性があったから、その才能を封じて、魂をしっかり体に繋いどいた。幽体離脱はもうしないと思う。
生霊になって人を突き飛ばし始めるまでは普通に健康体だった様だから、幽体離脱をしなくなったら直ぐに元気になるんじゃない?」
黒魔術師の才能が幽体離脱以外でどの程度発揮出来ていたのか次第では、退院後の生活が今までと多少変わるかもだが。
まあ、あの程度の才能だったらそれこそ相手にしっかり触れて目を合わせているレベルの接触がなければ意思誘導も難しかっただろうから、流石にあの年齢でそう言うムーブは然程活用してなかったでしょう。
きっと。
……活用してたら、ちょっと気持ち悪いかも。
まあ、ある意味ボディタッチを使って女を武器にするなら、別に黒魔術師の才能は要らないしね〜。
ハネナガには何日ぐらい見ていてもらうかなぁ。
退院して学校に戻るぐらいまで見ておくほうが一応安心なんだけど。
ここで今回の章は取り敢えず終わりです。
明日は休みますが明後日からまた宜しくお願いします!




