通り魔??
基本的に、私と碧は食料品に関しては特に重くて日持ちする物(ミネラルウォーターや缶詰など)以外は、近所のスーパーのチラシを参考に買い出ししている。
完全に同じ物だったら、ネットスーパーで買うのと店で買うのとほぼ同じなのだがチラシにある割引とか、見切りセールや割引チケットとかを使うと店で買う方が安そうだと言う結論になったからだ。
とは言え、ついつい特集的に売り出してあるスイーツとかを買っちゃうんで出費はトータルで大きくなってるかもだけどね。
でもまあ、甘味は人生の重要な楽しみだから。
追加で他の店でも目に付いた時に食べちゃっている事もあるけど、一応運動したり碧に助けて貰ったりで体脂肪率や体重は適正値はキープしているので問題ない、筈。
それに通学も無くなったから、出歩く用事を作る方が健康的だし。
一応諏訪では山歩きを毎回最低二回はするようにしているし、今だってウォーキングをしてちゃんと毎日5千歩は歩いている。だけど営業職とか駅から遠いオフィスで働く人に比べると、歩く量は少ないだろうから食料品の買い出しも良い運動だろう。
反対に、母なんかは通勤しているから十分よ!とか言って食材はほぼ全部ネットで買っているらしい。
それで体重が増えそうだからジムに通うって微妙に矛盾してる気もしないでもない。
それはさておき。
碧とスーパーから出て道を渡ろうと信号待ちしていたら、ふっと空から生霊が現れた。
うん?
真昼間にこんな時間に幽体離脱してるなんて、何処かの病院に入院している重病人? それとも単なる昼寝時の霊的迷子?
体に戻りなさいって促すべきかと横目(と言うか魔力視なんだけど)で見ながらどうするか考えていたら、突然その生霊がこっちに突っ込んできて、私の横で信号待ちしていた女性の背中にぶち当たった。
「きゃぁ!?!?」
「大丈夫ですか?!」
生霊を見てたので何が起きたか一瞬早く気づいた私が慌てて手を出したら、ギリギリ間に合ってその女性の腕を掴んで車道に飛び出すのを引き止められた。
熱心に見ていたスマホを取り落としたその人は一瞬、後ろを振り返って怒鳴りつけようとしたが、誰も居なかったのを見て変な顔をした。
「今、そこに誰か居ました?
押された気がしたんですけど」
「ちょっと人影があったかもですが、後ろを見ていた訳ではないですし、突然貴女方飛び出しそうになったんでびっくりして周囲を見る暇も無かったですから分からないです……」
ちょっと首を捻っている感じで私も見ていなかったと返しておく。
危なく殺されそうになっていたのに、気のせいだと言われるのは可哀想だろう。
これで近所の防犯カメラか何かで誰か写っていないか探す!とか言われたら、何もないところで突然前に飛び出しそうになった姿しかなくて、自殺未遂扱いされかねないけど。
「何か見た?」
一応碧にも尋ねるフリをしておく。
「ごめん、ちょっとバッグの中を探してたから見てなかった」
碧も首を横にふった。
ここで生霊を見掛けたなんて言っても良いことはないからねぇ。
「う〜ん、子供の悪質な悪戯かしら?
有り難うございました」
首を傾げながらもスマホを拾った女性は結局深く追求することなく青になった信号を渡って去って行った。
車に轢かれそうになったと意識してないのかな?
急に押されたっぽい感じがしたと思ったら腕を掴まれてから、もしかしたら私が自作自演したと思った可能性もあるかも。
「今の生霊、どこから来たか、何処に行ったか、何か分かった?」
碧に尋ねる。
突き飛ばされる女性を掴むのを優先したから、私は生霊は見失っちゃったんだよねぇ。
「凛があの女性を捕まえて事故を防いだら、詰まらなそうな顔をして消えたっぽい」
碧が言った。
うわぁ。
「通り魔的な生霊??
どこから来たんだろ?」
覗き見とかちょっと異音を立てて脅かす程度ならまだしも、勢いをつけて物理的に誰かを押すなんて、かなりの霊力を使うのでこんなことを繰り返していたら生霊の体が弱ってそのうち若死にするだろう。
でもその前に何人も殺していたら、被害者にとっては良い迷惑だし物騒だ。
「ある意味、あの人個人を狙っているならついて回る訳にもいかないからどうしようもないないけど、通り魔的なんだったらまたここら辺で人を殺そうとするのかな?」
この十字路じゃなくて、別のところでもやっていたって不思議はないが……現れて消えるのが自由自在なら、それなりに物理的に距離が近いかも?
まあ、幽体離脱慣れしてたらかなり遠くまで行けるが。
どうすっかね〜。




