同行者が問題
夕食は宿泊とセットで、黒毛和牛と蟹。
元々料理と部屋の宿泊がセットなのだが、2日連続で同じ食事では微妙。なので、そこは宿の人と相談して明日の夜は素泊まりにして、外で食べる事にしている。今晩と明後日は食事付き、明日は素泊まりの形で同じ部屋のランクで予約を取った後に、部屋自体を変えずに同じ場所にしてくれと交渉したのだ。
宿としては食事で稼ぐって面もあるんだろうけど、連泊にしてシーツや浴衣とかは洗濯しなくて良いし掃除も布団を日中端に避けておく程度で良いと言ってあるので、損ではない結果になったと思う。
小さな個人用サイズの鍋で牛肉や肉厚な椎茸に火が通るのを待ちながらお造りを食べていたら、先ほどの露天風呂に来た女性が目の前を通り過ぎて奥の席へ案内されるのが見えた。
温泉で少し穢れが落ちたのか、露天風呂へ出てきた時よりは多少はマシだが……後ろにニコニコと美しく笑いながら歩いている同行者が凄すぎて、明日の朝にはさっきと同じ状態になっているだろうなぁ。
あれって同行者が悪霊に乗っ取られてあの女性にも八つ当たり的に祟りを振り撒いているのか、それとも何らかの理由で女性を憎んでいて、悪霊の力を借りて意図的に祟っているのか。
なんか微妙に顔が似ている気がしないでもないから、もしかしたら姉妹?
まあ、顔なんて家族だって一卵性双子でもなければそれほど似るものじゃないから、普通に友人だったり義理の家族だったりかもだが。
とは言え。
流石に祟りたいほど憎い相手と二人きりで旅行に行くとも思えないから、どこかで『事故死』を演出するつもりで誘ったんじゃない限り、他にも一緒に来ている人間がいるんだろうなぁ。
私の席からでは彼女達が案内されたテーブルが見えなかったので、他に誰か一緒に来ているのか知らないけど。
変な殺人事件を宿や周辺で起こさないでよ?
それこそ、ハイキングに行って『逸れて遭難』なんて事にされたら現地の人はいい迷惑なんだし、下手をしたら私らが行く予定のハイキングコースとかも立ち入りを制限されたりしたらこっちも大迷惑だから。
そんなことを考えつつも夕食を満喫し、苦しいお腹が少し落ち着いたところで寝る前にもう一度温泉に入って就寝。
で。
翌日はハイキング!
宿でブッフェ式の朝食を食べた後、宿から出て街の中を通る川を超えた先の神社へ。
幾つかハイキングコースをネットで検索して、2時間ちょっとぐらいで少しハードだけど素人でも大丈夫というのを選んだのだ。
やっぱ、ハイキングで足腰を鍛えなきゃだからね。
両親だってまだまだ若いし大丈夫でしょう!
一応、少しハードなのにするか、森の中を散策程度の楽なのにするかと聞いたら、折角だから少しハードだけど高いところまで行くコースにしようと両親も言ったのだ。
そろそろ体の衰えを感じて、少しハードに運動せねばと考えているらしい。
と言うか。
50代の親ならまだしも、20代の私が足腰鍛えなきゃなんて言っているのって不味すぎ?
でも、今まではあまり山歩きなんてする必要が無かったんだから、しょうがないよね??
これから諏訪に行く際に毎回頑張って歩けば、それなりに鍛えられると期待しよう。
月に1週間あっちに行って、そのうちの2〜3日山歩きするだけで十分なのかは微妙に不明だけど。
まあ、それはさておき。
境内に登山口があるという神社への階段を登って中に入る。
多少は清らかな気が感じられるから、正式に厄祓いを頼めばそれなりに効果がありそう。だが碧の実家の諏訪神社の様に氏神様が定期的に訪れる程の場所ではない感じなので、ここで参拝するだけじゃあ悪霊は祓えないだろうなぁ。
神社の境内でお賽銭を投げ込んでいるの見かけた昨日の女性を見て、思わず『お賽銭だけでなく、厄祓いを頼めば??』と言いたくなったが、何も言わずにそのまま境内を見て回って両親と一緒に登山口の方へ向かった。
と言うか、考えてみたらあの穢れがちょっとこびり付いていた女性よりも、一緒にいた悪霊とべったりな関係っぽかった同行者を祓わないと、あまり意味がないよね〜。
お願いだから、私らがこの温泉街でゆったりしている間に問題を起こさないでよ〜?




