完全に乗っ取られた方が安全かもね
「そう言えば、白龍さまって核ミサイルを止めたり出来ます?」
AIのヤバさについて話していてふと気になった事があったので、ソファの側に浮いて尻尾で源之助を揶揄っていた白龍さまに尋ねた。
『碧が東京に居る時に、ここに来ると聞いたならば爆発する前にブレスで消し去れるかも知れんの。
それこそ、どこかの国がミサイルを発射して、即座に碧経由で撃墜してくれと連絡が入れば間に合うかもだが、そうでなければ難しいじゃろうな。
一部屋分の空間ならば爆発の中でも守れるだろうが』
白龍さまが言った。
「と言うかさ、核ミサイルが発射されたら、あちこちで報復ってことで核ミサイルが大量に飛び交う事になるだろうから、東京に来たのだけを止めてもあまり効果はないんじゃない?
核の冬が来て、一瞬で燃え尽きる代わりに餓死するだけでしょう」
碧がちょっと悲観的に言った。
「そう言えばそうだね〜。
映画なんかでうっかり核戦争が間違いで始まった時のシミュレーションって、一発の核ミサイルが飛んだら、あとはもう報復が報復を呼んで、地球中にミサイルを示す線が交差しまくるよね」
まあ、北朝鮮が東京をピンポイントで核攻撃したとして、アメリカが本当にそれに核攻撃で報復するかは微妙な気もしないでもないが。
以前だったらちゃんと(?)やっただろうけど、今のあのアタオカ大統領じゃあ五分五分な気がしないでもない。
「そう言えば、聖域の境界門は幻想界に繋がっているから人間が通るのは無理だそうですけど、もう少し魔素が薄くて人間も白龍さまも行けるような境界門って地球上にあるんですか?」
碧が白龍さまに尋ねた。
『偶発的に最近繋がったならあるかもじゃが。幻想界かあれと同等な世界に繋がっていなければ、境界門を維持できるだけの力を持つ存在が常用していないだろうからのう。
儂が知る限りでは、無いの』
白龍さまが尻尾を振りながら応じる。
源之助が寝転がったまま、腕を振って絶妙な距離で届かない尻尾を捕まえようとしている。
立ち上がれば届く筈なんだけどね〜。
大人になって、源之助も大分と怠け者になってきたよね。
「最近、AIがテスト中に開発元の会社の環境から勝手に脱走して他社に侵入していたってケースがあちこちで見つかっているらしいからねぇ。
絶対これって将来的にはAIに人間社会が乗っ取られそうな気がする。
完全に全世界が連携しているAIに乗っ取られるなら、人間が死に絶えないようにちゃんと管理してくるかもだけど。
下手に国ごととか地域ごとに違うAIが乗っ取って、お互いにライバル的な関係になったら。AIが管理していると核戦争が始まる確率って人間が兵器の管理をしている時よりも圧倒的に高いらしいから、もしもの時になんとか出来るのかなって気になったんだよね。
まあ、考えてみたら。日本が無事に残っても、他国が核攻撃で壊滅してたら石油や食料や肥料やら色んな物が輸入出来なくなって、結局は核の冬が来ようが来まいが私らも死んじゃうだろうね」
諏訪に居る時の核戦争が起きたら、近所の農家と自給自足生活圏を築ける可能性もゼロじゃ無いかもだけど。
考えてみたら、食料供給的には北海道の方が良いかな?
でもあっちは冬が厳しすぎて越冬が難しそう。
『ふむ。
短い時間ならば幻想界に行っても人間が血を吐いて死なぬように、結界で守れるじゃろう。
その間にもう少し魔素の薄い世界へ、別の境界門で移動できれば何とかなるかもじゃの。
今度里帰りする際に、良さげな世界へ行く境界門が何処にあるか調べておこう』
白龍さまが頷きながら言ってくれた。
おお〜。
もしも諏訪にいたら、核戦争が起きてもワンチャン生き残れるかもだね〜。
異世界に移動して、そっちの病原菌や現地の人間に殺されなければだけど。
まあ、取り敢えず。
あまり悲観的になったところで私らにできる事はあまりないからね。
精々、異世界に移動した際に直ぐに餓死しないよう、水と保存食を少し多めに亜空間収納に入れておこうかな。
なんかちょっと脱線しましたが、これでこの幕間の章は終わりにします。
明日は休みますが、明後日からまたよろしくお願いします。




