主役はあちらだよ?
昨日は前々日と同じ話をアップしていたのが発覚し、17時前に入れ替えました。
まだ読んでいらっしゃらない方はそちらも読んで下さい。
失礼しました〜〜!!
「ただいま〜」
兄貴の結婚と、北海道での温泉旅行(?)に関して相談しようと、実家に戻ってみた。
土曜日の午前中なので、出掛けないで家にいてねと前もって連絡してある。
まあ、父親はどうしてもゴルフに行きたいなら行っても良いけどね。
どうせ温泉宿に連れて行ってもお風呂では別になるのだ。
招待しても、来れないと断られたら母と二人で温泉旅行でも良いだろう。
やっぱね〜。
共働きだったけど子育てのかなりの部分は母親が負担したし、父親は2度もお見合いの形をした罠モドキに嵌っているからね。
母親に比べるとちょっと優先順位が下がる。
多分経済的な負担では父親の方がより多く貢献しているのだろうけど、世の中お金が大切とは言え、やっぱ家族関係は過ごした時間の方が感情的な重要度が高いよね。
それにうちの父親ってちょっと口下手だから、私と一緒に居てもイマイチ話題に困るっぽいし。
あれでも一応職場では出来る男として知られているのだと母親は言っていたけど、本当なのかな?
まあ、それはさておき。
ちゃんと両親がどちらもリビングに居た。
「おかえり〜」
「おかえり。退魔師として独り立ちして、上手くいっている?」
リビングから顔を出してきた両親が声をかけてきた。
「仕事は順調かな〜。
こないだ、スキー場の側であった依頼では、2時間近くも山歩きする羽目になって筋肉痛で酷い目にあったけど」
仕事よりも仕事に辿り着くのに大変な思いをしている気がする。
「あら。気をつけてね」
母が台所から麦茶を注いだコップを持ってきて言った。
「あ、ありがと。
そう言えばさ〜、兄貴の結婚の話、相談されてた?」
コップを受け取り、ぐいっと大きく一口飲んでソファに座りながら尋ねる。
結婚ってやっぱ本人だけじゃ無くて家族も関係する繋がりを作る儀式だから、それなりに家族に相談しても良いんじゃないかとも思うけど、どうなんだろ?
あの、兄貴だからなぁ。そういう気遣いをしてない可能性もある。
「年初に来た時にちゃんとした結婚式をするか、式は実質スキップしてレストランを借りて披露宴っぽいランチにするかで悩んでいるとは言っていたわね。
うちは別に特に拘りはないけど、結婚式は花嫁が主役なんだから怜子さんとあちらのご両親が納得できる形にしなさいよとは言っておいたのだけど」
母親が小さく溜め息を吐きながら言った。
あら〜?
母親も実は微妙に計画的出来ちゃった婚にはがっかりしてるの?
「お母さんも結婚式をやって欲しかったの?」
もしかして、私に関しても将来的には結婚式を期待しているのかな?
と言うか、兄貴はどうでも良いけど結婚式は花嫁が主役って事は、その親として私の結婚式には色々と思い入れがあるとか??
私は結婚するかさえ怪しいんだけど。
まあ、結婚することになったら、母親が拘るんだったらちゃんとした結婚式をしてもいいけど。私個人としてはあまり思い入れがないんだよね。
何度も生まれ変わった結果として、この世界の神に関して信仰心はないからそれに対して誓いを立てる結婚式ってあまり意味があるとは思えない。
とは言え。考えてみたら、日本人の結婚式で『神に誓う』なんて意識は……極めて薄い場合が多そうだけど。
披露宴的な騒ぎも、それこそ大学のサークルとかで皆でワイワイ楽しみながら絆を培っていたならその思い出をもう一度シェアするって形で友人を招いて披露宴をしても面白そうだが、そんな付き合いをした相手はいなかったからね。
そうなると、私と花婿の過去の詳細を見せる披露宴ってあまり意味がなくね??って気がする。
村社会に暮らしているなら、『新しい家族のユニットが形成されました、皆様宜しく』って感じでお祭り騒ぎをするのも一理あると思うけど、現代日本での結婚式ってマジで何の意味があるんだろうと言う気もしないでもない。
まあ、結婚相手(見つかるとして)やどちらかの両親に強い思い入れがあるなら協力しても良いけどね。
「輝に関しては私達はあの子と結婚してくれる相手が見つかれば万々歳と言うところで、ちゃんと入籍してくれれば後は本人たちが好きにすれば良いと思っているんだけど。
ちゃんと怜子さんと彼女のご両親が納得したのか、心配で」
母親が文字通り心配そうに言った。
「確かに、最初の出だしで相手の親と険悪な状態になっちゃったら不味いよねぇ。
少なくとも怜子さん本人は納得しているんだと思いたいけど」
まあ、考えてみたら怜子さんのご両親も関東圏に暮らしているのだ。
ウチらと同じで、どうせ年末年始程度にしか会わないから、多少関係が微妙でも構わないかな?
「輝にはそこら辺も言い聞かせてあるんだから、大丈夫だろ」
父親が楽観的に言った。
どうかな〜。
「まあ、それは良いとして。
あっちでの披露宴ランチの前後にも休みが取れそうなら、折角だから一泊二日か二泊三日ぐらいで札幌近辺の温泉にでも行かない?
大人になるまで育ててくれてありがとう〜ってことで、社会人としての初給与って訳じゃないけど、プレゼントするから」
初給与とか初ボーナスの方がなんかスペシャル感がある気もするけど、在学中から退魔協会で働いていたからね〜。
今更受け取ったお金に特別感はない。
でもまあ、良い区切りでしょう。
「あら?
良いの?」
ちょっと嬉しそうに母親が言った。
「勿論。
お二人が第二の新婚旅行的に二人きりで行きたいって言うんだったら遠慮するけど、そうじゃなかったら一緒に温泉を楽しもう!」
殆ど何も言っていないお父さんも、どう?




