↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
私の教え子、王国最強になったあとも家庭教師代を払い続けているのですが~恩返しだと思っていたら、年下公爵の恋でした~  作者: 他力本願寺


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
34/48

第34話 あなたの力を信じて割り振る

ニナが記した三つの枠に、班長の名前と機器番号が埋まっていく。


「こちら第三操作室。中央ゲートの切替盤、番号七二です」


「第三操作室、七二。班長さん、現物の銘板で確認をお願いします」


 オリヴィアが繰り返すと、短い間を置いて、確認済み、と返答が来た。


 記録係が部屋名に丸をつけた。


「ニナ先生。第三操作室に、伝達を確かめる人が一人必要です」


 オリヴィアが言うと、技師長は係員を呼んだ。


「内側の連絡廊下は通れます。外へ出ずに案内してください」


「わかりました。着いたら連絡します」


 ニナは確認表の写しを持って立った。いつもなら一緒に行きたくなるところだった。オリヴィアは、自分の前の図へ目を戻した。


 技師長は最初の操作を短く区切った。


 第二ゲートを指定の目盛りまで開く。計器を確認し、上流側の圧が下がったことを確かめてから、第五へ。


 オリヴィアはそれを通信係と各室へ伝えた。


 返答に合わせ、記録係が確認札を動かす。準備、確認待ち、停止。今どこで待っているのかが、机の上に見えた。


「第二操作室、準備できています」


「第五操作室、待機」


「第三操作室、ニナです。班長さんと確認しました。こちらも待機します」


 ニナの声は少し弾んでいたが、部屋名ははっきり聞き取れた。


 技師長が頷いた。


「第二、実行。副官、魔導長へ保持範囲の変更を」


 オリヴィアが指示を伝えると、フェリクスの声が返ってきた。


「第二の切り替えに合わせて、補助側の流れを逃がします。第五側は保持を継続」


 技師長が確認した。


 光の壁がわずかに形を変え、水の白い筋が流し先を変えた。


「第二、開度到達!」


「下流側、水位は範囲内です」


 報告が一つずつ揃う。オリヴィアは札を戻した。


「第二、完了。第五へ進めます」


 第五の操作に移る間、フェリクスが一度咳き込んだ。


 オリヴィアは窓を見そうになり、こらえた。彼へ何かを言う前に、次の確認を終えなければならない。


「第五操作室、復唱をお願いします」


 返ってきた開度が違った。


「そこは、半分ではありません。技師長さん、もう一度」


 技師長が目盛りを言い直した。班長が自分の操作書で確かめ、返答する。


 今度は正しい値が返った。


 フェリクスの声がした。


「準備できています」


 掠れた声なのに、急げとは言わなかった。


 オリヴィアは窓の外の光を見た。すぐそばで手を握ることはできない。ここで返答を確かめる自分を、彼は待っている。


 技師長の合図が出た。オリヴィアは通話器へ向き直り、はっきりと実行を伝えた。


 第五の開度が安定すると、技師長は中央ゲートの図を寄せた。


 ここが開けば、逃がし水路だけに集中している流れを、主流路へ戻せる。


「第三操作室。中央ゲートの操作を始めます」


 通話器の向こうで、ニナが班長と短く話す声が聞こえた。


 その後に続いた返答は、オリヴィアのよく知る声だった。


「中央ゲート、起動の担当はトマです。指示をお願いします」


 彼は一人ではない。班長の監督下で、認められた範囲の起動操作を受け持っている。


 それでも、ここから彼の手は見えなかった。


 オリヴィアは確認札を机に置き、彼の返答を待った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。