5/28
冬の日
ある晴れた寒い日に、バケツの水に氷が張っていた。
氷の下に空気があった。薄い氷を押すと、氷と水の間に閉じ込められた空気が右へ左へと動いていく。
空気を逃がそうと氷とバケツの境に追いやってみても、うまく抜けない。
私はなぜか意地になって、氷を割らないように空気を逃がすのに熱中した。
「あっ」
とうとう氷がかすかな音を立てて割れた。
空気は、逃げずにそこにあった。水の膜があるのだろうか。それにしては気泡が大きい。氷も割ってしまったし、私はこのささやかな遊びを終わらせるために、その気泡を指で触った。
割れるはずの気泡は割れず、ただそこにあった。そしてそれは、私の目の前で躍り上がるようにバケツから出ると、人型になってどこかへ歩いて行ってしまった。
読んでくださり、ありがとうございます。




