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日常のはざまで――掌編集――  作者: 猫野沙子


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ペーパーウェイト

 いろんな店が入っている商業施設で、小さな雑貨屋が目に留まった。華美過ぎず、可愛すぎず、どんな年齢の人が入っても違和感がないような素敵な店だった。


 店内に入ってみた。狭いけれど、物がぎゅうぎゅうに並べてあるわけでもないのに、種類が豊富に感じた。


 ふと、小鳥を模したペーパーウェイトが目に入った。アンティーク風の外観で、心を惹かれた。私の会社は経費削減のため、暑いと窓を開けてエアコンをつけないように頑張るようなところだ。風で書類が飛ぶこともある。


 私は小鳥のペーパーウェイトを購入した。


 さっそく会社でペーパーウェイトを使い始めた。と言っても、窓が開かないと出番はない。そろそろ寒くなってくるから、出番は来年だろう。それでも、好みの見た目のペーパーウェイトは、仕事中の私の癒しになった。


 ある日出勤すると、ペーパーウェイトが消えていた。みんなの机を見回したけれど、ない。出勤してきた人に聞いても、誰も知らないという。みんなの顔が分かるような職場なのに、盗む人がいたことにショックを受けた。


 沈んだ気分で家に帰った。しばらくすると、窓からコツコツと音がする。最初は無視していたけれど、あまりにも続くので、こわごわ窓を開けた。


 小鳥のペーパーウェイトが首をかしげて私を見ていた。それから、ぱたぱたと部屋に飛び込んでテーブルの上にとまると、そのまま元のペーパーウェイトに戻った。


 私の家には、かわいい小鳥のペーパーウェイトがテーブルの上に飾られている。


読んでくださり、ありがとうございます。

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