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日常のはざまで――掌編集――  作者: 猫野沙子


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靴

 お気に入りの靴を履いて出かけた。


 この靴はデザインも履き心地も好きなのだが、一点だけ気を付けなければならない。


「いてっ」


また転んだ。


 この靴を履くと必ず転ぶ。ヒールも何もない単なるスニーカーなのに。


 インソールがへたってきたのを思い出して、良さそうなインソールを買って帰った。古いインソールを外すと、「転」と書かれた紙が入っていた。


 この靴で会社に行ったこともないし、靴を脱ぐような店にも行っていない。そして、私は一人暮らしである。


読んでくださり、ありがとうございます。

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