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日常のはざまで――掌編集――  作者: 猫野沙子


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雨の日

 叩きつけるような雨が降っている中、傘をさして家に帰っていた。雨のせいで、足元はびしょびしょに濡れてしまった。


「やっぱりレインブーツにすればよかったわ」

普通の靴を履いていたせいで、靴下も濡れて気持ちが悪い。こんなに降るとは予想外だった。


 歩道の前方に、うずくまっている人の姿が小さく見えた。私はどうしようか迷ったけれど、近くに行ったら声を掛けることにした。もしも急病人だったらと思うと、無視して通り過ぎることができなかったのだ。


 だんだんうずくまっている人に近づいたが、不思議なことにどんな人なのか分からない。はっきり見える距離に来ても、男女の区別さえできなかった。


 傘をさしたまま、私はしばらくうずくまっている人を見つめた。


 その”うずくまっている人”だと思ったものは、私の目の前で溶けてゆき、やがて雨と共に水路に流れて行った。


 


 


読んでくださり、ありがとうございます。

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