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花
ふと入った店の出入り口で、花の種を配っていた。”どんなお花が咲くのかはお楽しみ!”とポップな字体で刷った紙と形が違う種が3粒入った小袋を渡されて、なんとなく受け取った。
家に帰って種をもらったことを思い出し、庭の空いている場所にとりあえず埋めて水をかけた。運が良ければ発芽するだろう。それきり、忘れてしまった。
夏になって、雑草の勢いに負けそうになりながら草を抜いていると、見慣れない葉っぱがあった。しばらく考えて、
「あ、前にもらった種のやつ?」
と独り言をつぶやいた。雑草じゃなさそうだとよく私はこうやって残しておく。花が咲かなかったら雑草判定で抜くのだ。見慣れない形の葉っぱは1つだけ。他は発芽しなかったか枯れたのだろう。
秋になって、それはつぼみを付けた。その頃にはどんな花が咲くか楽しみになっている自分が居た。
つぼみがほころびかけてきた。花の色は赤の様だ。
「楽しみ」
と、そっと人差し指でつぼみを突いた瞬間、つぼみが牙を剥き、私の指が食べられた。
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