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日常のはざまで――掌編集――  作者: 猫野沙子


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野良猫

 やせて毛がぼさぼさの猫がうちの玄関前で鳴いた。野良猫だろう。死んでしまった飼い猫のおやつをこっそりあげた。


 次の日もその猫はやってきた。またこっそりおやつをあげたが、食べずにこちらを見て鳴いている。猫はしびれを切らしたようにくるりと向きを変えて、こちらを振り返ってすごい声で鳴く。


 ついてこいと言っているのかと、猫の後について行った。猫は振り返りながら歩き、近所の林の中の倒木まで導いた。洞があって、ガリガリの子猫が2匹いた。この野良猫の子供だろうか。


 子猫たちを洞から出して、

「保護してほしかったのか。お前も保護してやるから――――」

と母猫に声を掛けたが、母猫の姿がない。キョロキョロと見回すと、倒木の側で母猫は死んでいた。


 母猫を葬って、子猫2匹は責任をもって保護した。健康になった子猫はやんちゃで、飼い猫が死んで痛んだ心を慰めてくれた。



読んでくださり、ありがとうございます。

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