表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
日常のはざまで――掌編集――  作者: 猫野沙子


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
26/28

庭仕事

 家を買って、あこがれの庭の手入れを始めた。ずっとほしかった庭だけれど、雑草との戦いがこれほど大変だとは思わなかった。


「抜いても抜いても生えてくる」

呟きながら、庭の雑草を抜いた。始めのうちは見られても恥ずかしくない格好をしていたけれど、最近はもう流れる汗を押さえるために、頭にタオルを巻いていた。庭仕事は見た目より実用性だ。


「こんにちは」

お隣の旦那さんも庭仕事をしていた。背が高くてやせ型の人で、あまり愛想はよくないが、こちらの挨拶に軽く頭を下げてくれた。挨拶をした後で、自分がタオルを頭に巻いた格好をしていたことを思い出してなんだか恥ずかしくなった。


 ある日気が付くと、お隣との境の壁のあたりにハート形の葉っぱが出ていた。白い花弁のようなものの中央から、黄色い穂が伸びた花が咲いていてかわいい。気になって調べると、ドクダミだった。最初はかわいいと思ったが、地下茎で瞬く間に広がっていくこのドクダミがすぐに嫌いになった。


「刷毛で葉っぱに除草剤を塗ると良いらしいよ」

友人に聞いて、私はさっそく実行した。ドクダミの葉に、除草剤を塗った。こうすると、葉っぱから根っこまで除草剤が回って枯れるらしい。


 数日後、ドクダミの様子を見に行った。葉っぱは茶色くなっている。このまま根っこまで枯れてくれるといいのだけれど。


 ふと、人の気配に顔をあげた。お隣の旦那さんだ。なんだか様子がおかしい。

「だいじょうぶですか?」

声を掛けたが、低く唸るような声を出したお隣の旦那さんは、急に眼をクワッと見開いて口を大きく開けたかと思うと、見る見るうちにしわしわになっていった。


「ひいぃぃい?!」

あまりの光景に、私の口から悲鳴が漏れた。


 お隣の旦那さんは、まるで枯れたように茶色になった。


 一陣の風に、お隣の旦那さんは枯葉のように体が散り散りになって消えてしまった。



読んでくださり、ありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ