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日常のはざまで――掌編集――  作者: 猫野沙子


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たばこ

 仕事の都合で、先輩と車で移動することになった。高速に乗って1時間は走らなくてはならないから、僕は高速に乗る前にコンビニによって先輩に、

「ここで吸い溜めして下さいよ」

と言った。僕はたばこの匂いが大嫌いなのだ。電子タバコも嫌なのに、よりよって先輩は紙たばこを吸うのだ。


 先輩も僕がたばこの匂いが嫌いなのを知っているから、車外でタバコを吸って、自分に消臭スプレーを振りかけてから車に乗ってくれた。


「1時間、煙草は我慢してくださいね」

「ああ、分かった。でも、吸えないと思うと吸いたくなるなぁ」

こんな会話をして高速に乗った。


 高速のトンネルに入った。先輩は貧乏ゆすりをしながら、コンビニで買ったコーヒーを飲んでいる。


(あれ、こんなにトンネル長かったかな?)

なかなか出口が見えない。僕は首を傾げつつも、運転を続けた。不安になるほど長いトンネルに、だんだん僕は焦りを覚えた。


 どれくらいたっただろう。たばこの臭いが鼻を突いた。

「くっさ!先輩、何たばこ吸ってるんですか?!」

「1時間たったし。限界」

先輩は深くたばこを吸って、煙を吐き出した。

「僕がたばこ嫌いなの知ってますよね?!」

「うるせぇなぁ。もう1時間走ってるじゃん」

先輩は面倒そうに車の窓を開けた。その時、ようやく前方にトンネルの出口の明かりが見えた。


 



読んでくださり、ありがとうございます。

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