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日常のはざまで――掌編集――  作者: 猫野沙子


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『買い物』『紙コップ』

『買い物』


 買い物に出かけると、必ずひとつ、買い忘れてしまう。


「うわ、よりによって油買い忘れてるわ」


今日はてんぷらを作ろうと思ってたけど、油が足りなかったから買わないといけないと思っていたのに。


 ため息をついて、油を買いに行った。


 なんで一つだけ忘れるんだろうと思っていたけれど、手書きでもスマホのメモでも、写真でも、最後の一つだけ、いつもメモが消えていることに気が付いた。




『紙コップ』


 紙コップが毎朝一つ、会社の事務所の給湯室に置いてある。使用した形跡があるのが腹立たしい。


「誰か知らないけど、ちゃんと捨ててください」


 数日に1回はこれを言うが、みんな知らん顔だ。捨てればいいだけとは言え、毎日やられるとこちらもストレスだ。


 数カ月続いたため、

「明日もあったら、紙コップは撤去します」

と宣言した。これでさすがに紙コップを捨ててくれるだろう。


 次の朝、紙コップが放置されていた。宣言通り、私は紙コップを撤去した。


 けれど、出勤すると、紙コップが放置されていた。誰も知らないと言う。紙コップは、撤去したものと同じ柄だった。


 嫌がらせかと思って放置したけれど、毎朝増え続ける紙コップに、私は恐怖を感じた。


 


読んでくださり、ありがとうございます。

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