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日常のはざまで――掌編集――  作者: 猫野沙子


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水路

 仕事で農業用水路を作った。けれど、流れが滞ると苦情が来たので、同僚と二人で調べに行った。


「高さは問題ないな」

「逆勾配かと思ったけど、大丈夫だな」

「水、流してみるか?」


許可をもらっていたので、水門を開けて水を流してみた。


「なんか、勾配がどうとかって言うより、石でも置いてあるみたいだな?」

「そうだな。せき止められてる」


 気味が悪かった。見えない何かが、少し濁った水を遮っている。


「上司に見てもらうか?」

「ああ。本気にしてもらえなさそうだし」


俺たちは水門を閉めて、会社へ戻って上司に事情を話した。


「酒と塩、まいとけ。ああ、まきすぎるなよ。苦情来るから」


 それだけ言って、上司は自分の仕事に戻った。俺たちは半信半疑で言われたとおりにした。


 水は、流れるようになった。


読んでくださり、ありがとうございます。

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