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日常のはざまで――掌編集――  作者: 猫野沙子


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IHコンロ

読んでくださり、ありがとうございます。

 IHコンロがついたアパートに引っ越した。ガスコンロよりフラットだから掃除がしやすくなった。


 それからしばらくして、うっかり吹きこぼしてしまって、焦がしてしまった。きれいにするのに苦労した。


 その後、どこかおかしくなったのか、IHコンロはどんなに弱くしても吹きこぼれるようになり、そのたびに焦げ付いた。


 アパートに彼女が来た。手料理を振舞ってくれるというから期待していたのに、彼女の悲鳴が聞こえた。


「どうした?ゴキブリか?」


「ひ、ひ、人の顔……!」


「ごめん、ごめん、いつもより穏やかな顔だったから、うっかり掃除を忘れてたよ」


そういえば、昨日も吹きこぼれたんだった。



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