96話 帰還後の日常!なのです!!①
その後。
「つ~か~れ~た~~」
U-ハイドラがそう言いながら、休憩スペースのソファーに飛び込む。
「もう……」
てんりゅうは呆れながらも、無事に帰ってこられたことが嬉しそうだ。
「さ、みんな、艤装を整備するからね」
「「「「「「「はい!」」」」」」」
七人は元気よく返事をする。
それぞれが自分の艤装を外し、整備士の湊の近くに置く。
「今回はかなり動いたから、しっかり見てもらわないといけませんね」
よなぐにが自分の艤装を見ながら言う。
「そうなのです! みきしおもいっぱい動いたのです!」
「みきしおは、いつもいっぱい動いてるでしょ」
「そうですけど……今回は特別なのです!」
みきしおが胸を張る。
「ふふっ」
アイオワがそんな二人を見て笑う。
「私もドローンをたくさん使ったの」
「そうですね。ドローンの状態も確認しておきましょう、です。それに、整備士さんのお手伝いをする、です」
くろしおが工具を手に取り、ずいほうの艤装を確認する。
「ありがと、くろしお」
そんな会話をしながら、湊は潜水娘たちの整備を始めていった。
その頃。
基地の別区画にある会議室では。
「……以上が、今回の調査任務で確認された内容です」
司令官が、集まった幹部たちへ向けて報告していた。
大型のモニターには、沈没した教育施設の映像が映し出されている。
「地下区画に未知のエネルギアが存在していた、と」
「はい」
司令官が頷く。
「しかも、戦艦長門の主砲を搭載していた」
「確認された武装は、四十五口径四十一センチ連装砲。映像からも、その特徴は確認できます」
別の資料が表示される。
そこには、巨大なエネルギアの背中に取り付けられた主砲が映っていた。
「……エネルギアが艦艇の兵装を持つ例は、これまでに?」
「確認されていません」
司令官が答える。
「少なくとも、現在までに確認されているエネルギアの中には、今回のような個体は存在していません」
会議室に沈黙が広がる。
「さらに問題なのが、背中にあった隙間です」
映像が切り替わる。
巨大な身体。
その背中にある、小さな隙間。
「ここからエネルギーが流れ、主砲へ向かっているように見えました」
「そして、そこへ魚雷を命中させたところ、動きが止まった」
「はい」
司令官は頷く。
「一時的ではありますが、明らかに動きが鈍りました」
「つまり、弱点である可能性がある、と」
「現時点では、その可能性が高いと考えています」
司令官はそう言いながらも、表情を引き締める。
「ですが、確実なことはまだ分かっていません」
「……なるほど」
幹部の一人が腕を組む。
「それほどの個体が、なぜ沈没した教育施設の地下に?」
「それも不明です」
司令官は映像を止めた。
「施設そのものにも、まだ調査できていない場所があります。今回の調査では、あのエネルギアとの接触によって、十分な確認ができませんでした」
「つまり、あの施設にはまだ何かある可能性がある、と」
「はい」
司令官が静かに答える。
「ただし、すぐに再調査を行うつもりはありません」
幹部たちが司令官を見る。
「今回の相手は、あまりにも危険です。次に調査を行うのであれば、今回以上の準備が必要になります」
司令官は、モニターに映る巨大なエネルギアを見つめた。
「それに……」
少しだけ間を置く。
「あの個体が、あそこにいた理由も調べる必要があります」
誰も答えなかった。
ただ、巨大なエネルギアの映像だけが、会議室のモニターに映し出されていた。
一方、その頃。
「……あっ」
休憩スペースでは、くろしおが声を上げた。
「どうした?」
湊が振り向く。
「この艤装、少しだけ装甲に傷があります」
「ほんとですね?」
アイオワが覗き込む。
「ありがと、くろしお」
「いえいえ、お手伝いすると言ったから当たり前、です」
「それに、今回は、みんな無事だった。それが一番だよ」
湊がそう言うと、みんなが静かに頷いた。
危険なエネルギアとの戦闘。
それでも、全員が無事に帰ってこられた。
それだけで、十分だった。
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