94話 帰還!なのです!!
七人は、そのままアーク・トリニティへ向かって進み続けていた。
海中を進む音だけが、静かに響いている。
「……もう少しなのです?」
みきしおが前を向いたまま尋ねる。
(ああ。もう少しだ)
「よかったのです……」
みきしおは、ほっとしたように息を吐く。
その隣では、てんりゅうが周囲を警戒していた。
「でも、まだ気を抜かないでよね」
「分かってるのです!」
「ほんと?」
「ほんとなのです!」
そんな二人のやり取りを聞きながら、U-ハイドラが後ろから呟く。
「早く~~、基地に~~帰って~~、休みたい~~……」
「だから、まだ帰ってないでしょう」
「分かってる~~……」
アイオワも周囲を確認しながら、後方へ視線を向ける。
「……あのエネルギアは?」
ずいほうがドローンの映像を確認する。
「少し待ってなの」
数秒後。
「……映ってないの」
(本当か?)
「ええ。もう、かなり遠く離れたみたいなの」
湊は画面を見つめる。
(そうか……)
先ほどまで自分たちを追っていた巨大なエネルギア。
あれほどの巨大な存在が、今はもう見えない。
(これなら、本当に帰れそうだな)
その時だった。
「……あっ!」
みきしおが前方を指差す。
「何か見えるのです!」
「私も確認しました」
アイオワが答える。
海中の先。
遠くに巨大な影が浮かんでいた。
それは見慣れた姿だった。
「アーク・トリニティです!」
くろしおの声が響く。
「やった~~!」
U-ハイドラも嬉しそうに声を上げる。
「みんな、もう少しなのです!」
七人は、さらに速度を上げる。
少しずつ。
少しずつ。
巨大な海上移動基地の姿が大きくなっていく。
やがて、第四ドックへ続く航路が見えてきた。
(こちらアーク・トリニティ。第四ドック帰還を確認した。おかえりなさい)
通信が入る。
湊はすぐに答えた。
(こちら第四ドック。帰還する)
「了解なのです!」
みきしおたちが、ゆっくりと第四ドックへ入っていく。
ドックの中には、整備員たちの姿が見えていた。
「おかえりなさいっ!」
「全員、無事みたいだな!」
声を掛けられ、みきしおが嬉しそうに手を振る。
「ただいまなのです!」
続いて、てんりゅう、よなぐに、くろしお、U-ハイドラ、アイオワ、ずいほうもドックへ入る。
七人全員が、無事に帰還した。
湊はスマート・バイザーの画面を見つめる。
そこには、今回の調査で記録された大量のデータが表示されていた。
「……帰ってこられたな」
長い任務だった。
未知の施設。
そして、あの巨大なエネルギア。
危険な場面は何度もあった。
それでも、全員が無事に帰ってきた。
「整備士さん」
ずいほうが湊へ声をかける。
「無事に帰れたの」
「ああ」
湊は小さく笑った。
「みんな、本当によく頑張った」
「「「「「「「はい!」」」」」」」
その言葉に、みきしおたちも笑顔になる。
湊は、スマート・バイザーに表示されたデータを見つめた。
まだ、司令官への報告が残っている。
あの巨大なエネルギアについても、分かったことをすべて伝えなければならない。
それでも――。
今は、全員が無事に帰ってきたことを喜んでよかった。
任務そのものは終わった。でも、調査結果についてはまだこれから
ここまで読んでくれてありがとうございます。
次回もお楽しみに




