72話 みんなと遠足!なのです!!⑩
古びた店の前で、ずいほうとアイオワは立ち止まっていた。
「ここ……」
ずいほうは、古い看板を見上げている。文字はところどころ消えているが、店の中には昔の道具や日用品が並んでいた。
「入ってみますか?」
「……うん」
二人が店の中へ入る。
「いらっしゃい」
店の奥から、店主らしき人物の声が聞こえた。
ずいほうは店内を見回す。
古い棚、古い道具、そして壁に飾られた一枚の写真。
「……!」
ずいほうが足を止めた。
「どうしました?」
「あの写真……」
アイオワも壁を見る。
そこには、今とは少し違う旧市街区の様子が写っていた。
まだ新しい建物が少なく、今よりも多くの人が通りを歩いている。
「昔の写真でしょうか?」
「うん……たぶん」
ずいほうは写真へ近づく。
「この道……」
指先を写真へ向ける。
「知っているの」
「本当に?」
「……でも、どうして知っているのかは分からないの」
ずいほうは目を閉じる。
すると、頭の奥に小さな光景が浮かんだ。
誰かと歩いている。
笑い声が聞こえる。
そして、どこからか漂ってくる料理の匂い。
「……玉子……」
「玉子?」
アイオワが尋ねる。
「ううん……なんでもないの」
ずいほうは目を開いた。
「少しだけ、思い出した気がするの」
「何をですか?」
「まだ……分からないの」
アイオワは静かに頷いた。
「焦らなくてもいいと思います」
「……ありがとうなの」
そのとき、店の奥から店主が出てきた。
「ずいぶん珍しいお客さんだね」
店主は、ずいほうとアイオワを見て微笑む。
「潜水娘がこの辺りに来るなんて、珍しいよ」
「今日は遠足なの」
ずいほうが答える。
「そうかい。それなら楽しんでいきな」
「はいなの」
二人は店を出る。
外へ出ると、夕方の光が古い街並みを照らしていた。
「そろそろ戻りましょうか」
「……うん」
ずいほうはもう一度、古い店を振り返る。
「また来たいの」
「えぇ、また来ましょう」
二人はみんなの待つ場所へ向かって歩き出した。
「あ!おーい! ずいほうさん、アイオワさーん!」
みきしおたちの声が聞こえる。
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