71話 みんなと遠足!なのです!!⑨
旧市街区へ入った私たちは、古い建物が並ぶ通りを歩いていた。
「……なんだか、今までの場所とはずいぶん違いますね」
よなぐにが周囲を見回す。
「あぁ。ここは昔から残っている建物が多いから」
湊がそう説明すると、みきしおも辺りを見渡した。
「古い建物がいっぱいなのです!」
「そうですね。新しい建物とは、雰囲気が全然違います」
アイオワも興味深そうに眺めている。
通りには古い店や住宅が並び、ところどころには今では使われていない建物も残っていた。
「……」
その中で、ずいほうだけが静かに歩いていた。
何かを探すように、周囲を見つめている。
「ずいほう?」
湊が声をかける。
「……うん、なに?」
「大丈夫か?」
「大丈夫なの。ちょっと、気になる場所を見ていただけなの」
「そうか」
湊はそれ以上聞かなかった。
みんなはそのまま通りを進んでいく。
「この先には、何があるです?」
くろしおが尋ねる。
「昔からある商店街が残っているはずだよ」
「商店街なのです!?」
「見てみたいのです!」
みきしおが嬉しそうに声を上げる。
その隣で、ずいほうは古い街並みをじっと見つめていた。
「……ちょっと……行ってくるの……」
そう言い、ずいほうは走り出した。
「え!? ちょっと! ずいほう!?」
てんりゅうが呼び止めるまでもなく、もう行ってしまった。
「わたし、探してきます」
「そうだな。みんな、手分けして探そう」
そう言い、みんなで探すことにした。
「ずいほう、どこへ行ったのでしょう」
アイオワが周囲を見回す。
「さっきまで、あっちを見ていたような」
よなぐにが指差す。
「なら、そっちを探してみよう」
「ですです」
「私たちはこっちを探すのです!」
みきしおとてんりゅう、くろしお、よなぐには別の通りへ向かっていく。
「U-ハイドラはどうするの?」
「ん~~、私は~こっち~~」
U-ハイドラは適当に別の道を指差した。
「本当に見つけられるのかしら……」
「大丈夫~~」
「根拠がないのです……」
ずいほうを探すため、それぞれが旧市街区の通りを歩き始めた。
一方、その頃。
ずいほうは、古い建物が並ぶ通りを一人で歩いていた。
「……ここじゃないの」
立ち止まっては周囲を見回し、また歩き出す。
何かを探しているようだった。
「……昔は、確か……」
ずいほうが小さく呟く。
そのとき、後ろから足音が聞こえた。
「ずいほう」
「……!」
振り返ると、そこにはアイオワが立っていた。
「アイオワ……」
「みなさんが心配していますよ。突然走っていなくなってしまったので」
「……ごめんなさいなの」
「いえ、見つかってよかったです」
アイオワはそう言って、ずいほうの隣まで歩いてくる。
「ですが……何か探していたのですよね?」
「……うん」
ずいほうは少し迷ったように、古い建物へ視線を向ける。
「この辺りを歩いていたら、なんだか懐かしい感じがしたの」
「懐かしい……ですか?」
「うん。でも、どうしてなのかは分からないの」
「以前、ここへ来たことがあるのでしょうか?」
「……分からないの」
ずいほうは静かに首を横に振った。
「ただ……何かを思い出せそうな気がしたの」
「そうだったのですね」
アイオワは、それ以上尋ねなかった。
「では、もう少しだけ探してみますか?」
「……いいの?」
「もちろんです。みなさんには私から説明しておきます」
「ありがとう、アイオワ」
二人は並んで、古い街並みの中を歩いていく。
「……あ」
しばらくして、ずいほうが小さく声を漏らした。
その視線の先には、古びた看板の残る一軒の店があった。
「ここ……」
「知っているのですか?」
「……分からない。でも……」
ずいほうは、その店をじっと見つめる。
「なぜか、ここを知っている気がするの」
アイオワは静かにずいほうの隣に立った。
二人の前には、長い年月を経た古い店が、静かに佇んでいた。
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