36話 よなぐにの初任務!なのです!!④
みきしおたちは護衛任務中に、高級リュウグウ型エネルギアと遭遇した。
巨大な影が海中を滑るように迫る。
高級リュウグウ型エネルギア。
銀白色の長い身体がゆっくりとうねるたび、周囲の海流が激しく乱れた。
「来ます!」
よなぐにが叫ぶ。
次の瞬間、リュウグウ型エネルギアの尾が大きく振り抜かれた。
轟音とともに海流が荒れ狂う。
「っ!」
みきしおは流れに押されながらも、姿勢を立て直す。
(てんりゅう! 右へ!)
「了解!」
てんりゅうは水流をかわしながら、敵の側面へ回り込む。
湊はスマート・バイザーに映る戦況を見つめ、すぐに指示を飛ばした。
(みきしおは敵の注意を引け! てんりゅうは側面を維持!)
「はい!」
みきしおは一気に加速し、演習用とは違う実戦用魚雷を発射した。
魚雷は一直線に高級リュウグウ型へ向かう。
しかし――。
ドォンッ!
敵の硬い身体に命中した魚雷は、大きな爆発を起こしただけで致命傷にはならない。
「硬い!」
リュウグウ型は巨大な身体をひねると、そのままみきしおへ突進した。
「速いっ……!」
間一髪で回避したものの、激しい水流に巻き込まれ、大きく体勢を崩す。
「みきしお!」
てんりゅうが援護射撃を放つ。
水圧砲が敵の横腹へ直撃する。
だが、リュウグウ型はわずかに身体を揺らしただけだった。
「普通の攻撃じゃ止まらないわ!」
その頃。
ずいほうは静かに目を閉じていた。
「水中ドローン……第一隊、第二隊、展開なの」
小型ドローンが四方へ散開する。
スマート・バイザーには複数の映像が同時に映し出されていく。
「整備士さん」
(どうした?)
「ハイドロ・コアの反応を見つけたの」
画面の一部が赤く点滅する。
「首の付け根……そこだけエネルギーが集中しているの」
湊は即座に判断した。
(てんりゅう! 弱点は首の付け根だ!)
「分かったわ!」
しかし、その時だった。
リュウグウ型エネルギアが進路を変えた。
巨大な身体が貨物船団へ向かっていく。
「まずいです!」
くろしおが叫ぶ。
そして、よなぐには迷わなかった。
「船には近づけさせません!」
小さな身体で一直線に敵の前へ飛び出す。
リュウグウ型が大きく口を開いた。
高圧の水流が一直線によなぐにへ放たれる。
「きゃあっ!」
よなぐには両腕で受け止めた。
衝撃で後方へ押し流されながらも、必死に踏みとどまる。
「まだ……です!」
貨物船まではあとわずか。
ここを突破されれば、船団は危険だった。
湊の声が響く。
(よなぐに、そのまま三秒だけ耐えろ!)
「はいっ!」
(ずいほう!)
「準備できているの」
ずいほうは静かに指揮棒を掲げた。
「全ドローン、敵前方へ集中なの!」
十数機の水中ドローンが一斉にリュウグウ型の周囲へ集まる。
敵の視界を遮るように高速で旋回し始めた。
リュウグウ型が一瞬だけ動きを止める。
(今!)
湊の指示と同時に、てんりゅうが全速力で突撃する。
「これで終わりよ! 魚雷、てーっ!」
魚雷が一直線に弱点へ向かう。
轟音。
爆発。
首の付け根で眩い光が弾けた。
高級リュウグウ型エネルギアは苦しげに身体を大きくよじる。
その長い身体が海中で激しく暴れ、水柱が次々と立ち上った。
「効いてるのです!」
みきしおが叫ぶ。
湊はすぐに次の指示を出した。
(全員、追撃はするな! 船団の護衛を優先!)
よなぐには素早く貨物船の前へ戻る。
「船団、異常ありません!」
リュウグウ型エネルギアは低いうなり声を残しながら、ゆっくりと深海の闇へ姿を消していった。
海に静けさが戻る。
貨物船団は一隻も欠けることなく、目的地へ向けて航行を続けていた。
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