34話 よなぐにの初任務!なのです!!②
六人の潜水娘は、第四ドックの巨大な出撃ゲートから次々と海へ飛び込んだ。
水しぶきが舞い上がり、その姿はすぐに青い海の中へ消えていく。
海中では、それぞれの艤装が【通常・航行形態『シールド・モード』】になり、足裏の推進器が静かに唸りを上げていた。
みきしおが先頭を泳ぎ、その少し後ろをてんりゅうが続く。
中央にはよなぐに。
さらに後方には、水中ドローンを待機状態にしたずいほうと、輸送潜水艦のU-ハイドラ。
最後尾から全体を見渡すように、くろしおが続いていた。
湊は第四ドックに立ったまま、スマート・バイザーへ映し出される立体海図を見つめる。
六つの青い光点が、ゆっくりと沖へ向かって進んでいた。
(全員、通信確認)
『みきしお、異常なしなのです!』
『てんりゅう、問題ないわ』
『U-ハイドラだよ~、通信良好~』
『くろしおです!』
『ずいほうなの』
少し間を置いて、
『よなぐに、異常ありません!』
緊張した声が通信に乗る。
湊は穏やかな声で返した。
(力を抜け。今日は敵を倒す任務じゃない)
『……はい!』
海流に乗りながら、およそ三十分。
ソナーの先に、いくつもの反応が映る。
「貨物船団を確認」
海面を見上げると、巨大な貨物船がゆっくりと航行していた。
その後ろには数隻の輸送船が続いている。
湊は通信回線を切り替える。
「こちら第四ドック所属、護衛部隊です」
しばらくして、落ち着いた男性の声が返ってきた。
『こちら貨物船「はるか丸」。護衛、感謝します』
「目的地まで護衛を担当します」
『よろしくお願いします』
通信が終わると、湊は六人へ指示を送る。
(護衛陣形に移る)
(みきしお、船団前方)
「了解なの!」
(てんりゅう、右舷側を警戒)
「任せて!」
(U-ハイドラ、左舷側)
「了解~~」
(ずいほうは後方から広域索敵。ドローンは必要になってから展開してくれ)
「分かったの」
(くろしおは中央付近。緊急修理に備えろ)
「了解です!」
最後に、湊はよなぐにへ視線を向けた。
(よなぐに)
『はい!』
(君の任務は、この船団そのものを守ることだ)
『……はい!』
(何か少しでも気になることがあれば、すぐ報告してくれ)
よなぐには貨物船を見上げた。
海面の向こうでは、多くの人々の生活を支える荷物を積んだ船が、静かに進んでいる。
「絶対に守ります……!」
その小さな決意を胸に、六人は船団を囲むように泳ぎ始めた。
穏やかな海。
静かな水中。
しかし、その静けさの奥で、誰にも気付かれない微かな異音が響き始めていた。
よなぐにのソナーが、小さく反応する。
「……?」
よなぐには足を止め、周囲へ視線を向けた。
「今の音は……?」
画面には、一瞬だけ正体不明の反応が映る。
だが、すぐに消えてしまった。
「気のせい……でしょうか」
それでも、よなぐには胸騒ぎを覚えていた。
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