31話 海防潜水艦!なのです!!①
司令部・作戦会議室。
部屋の中央にある大型モニターには、日本近海の海図が映し出されていた。海図のあちこちでは、赤い警告表示が点滅している。
「……また増えたか」
司令官が静かに呟く。
隣に立つ幹部が資料を机へ置いた。
「はい。本日だけで全国七件です」
「七件……」
重苦しい空気が流れる。
幹部は資料をめくる。
「エネルギアの出現頻度は、先月と比較して約一・五倍です」
「さらに、中級個体の確認数も増加しています」
「先日の海底施設では、初級任務にもかかわらず中級個体が出現しました」
司令官は腕を組む。
「規格外の出現……偶然では済まんな」
「はい」
別の幹部が口を開く。
「民間船への被害も増加しています」
モニターには、貨物船やフェリーの写真が映し出された。
「輸送船一隻、大破」
「巡視艇一隻、中破」
「幸い乗員は救助されましたが、いつ犠牲者が出てもおかしくありません」
会議室が静まり返る。
司令官はゆっくりと海図を見つめた。
「これ以上、一般船舶を危険にさらすわけにはいかん」
「海上輸送は国の生命線だ」
「護衛戦力を増やせ」
幹部はすぐに端末を操作する。
「了解しました」
「各ドックへ海防潜水艦を優先配属します」
「主な任務は、民間船舶、輸送船団、旅客船の護衛です」
「通常任務より護衛任務を優先します」
「よろしい」
司令官は一枚の資料へ目を落とした。
そこには、新しい艦種名だけが記されている。
『よなぐに型海防潜水艦』
「完成は間に合うか」
開発担当の幹部が頷いた。
「試験は順調です」
「配備第一陣は、まもなく各基地へ送られます」
「そうか」
司令官は小さく息を吐く。
「海を守る者が必要だ」
「敵を倒すだけでは足りん」
「守るための潜水娘も必要になる」
演習が終わって数日後、湊は潜水娘たちの艤装の点検を終えた。そこへ連絡が届く。
『至急、司令官室に来てくれ』
そう書かれていた。
湊は司令官室へ向かった。
移動中…………。
湊はコンコンッと扉を叩いた。
「入れ」
「失礼します。……?」
そこには司令官と、一人の少女がいた。
「来たか」
「……」
「その潜水娘は?」
「あぁ、今日から君の艦隊に配属する潜水娘だ。ほら、挨拶を」
「は、はい! わ、私はよなぐに型海防潜水艦・一番艦『よなぐに』です!」
その少女――よなぐには、緊張しながらも挨拶をした。
「海防潜水艦?」
「あぁ。本来は輸送船や民間人を乗せた船を守る役目なのだが、最近はエネルギアの出現頻度が上がり、大破する船も出ている。よって、君の艦隊にも配属することとなった」
「なるほど。よろしくね、よなぐに」
「は、はいっ!」
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