24話 過去と未来!なのです!!④
整備士『湊』は潜水娘『ずいほう』を連れて、改装やちょっとした故障なら直してくれる施設へと来ていた。
「ここ、久しぶり、……なの」
「そうなの?」
「うん……そうなの。昔はよくここに来て点検してたの」
ずいほうは懐かしむような目をしている。思い出がよみがえるようだった。
「さ、行こう」
「はい、なの」
改装施設。
巨大な整備施設の中央に、ずいほうは静かに立っていた。
以前までの姿とは違う。錆びついた装甲は取り外され、長い眠りによって傷んだ部分は交換されている。
しかし、湊はすべてを新しいものに変えるつもりはなかった。
「……この部分は残して」
湊が指したのは、古い艤装の一部だった。
「これは?」
作業員が尋ねる。
「ずいほうが、ずいほうである証拠だから」
湊は答えた。
最新の部品に交換すれば、性能だけならもっと上げられる。
でも、それでは違う。
長い時間眠り続けた彼女が持っていたものまで消してしまう。
「過去があるから、今があるんだ」
湊はそう言って、改装作業を開始する。
古い動力系統を最新型へ。
水中ドローン制御システムを新設。
失われていた格納スペースを復元。
そして――。
ずいほうの背部に、新たな水中機運用設備が組み込まれていく。
「……すごいの」
ずいほうは、自分の新しくなった艤装を見つめていた。
「昔の私じゃないみたいなの」
「いや」
湊は首を振る。
「昔の君も、今の君も、どっちも君だよ」
その言葉に、ずいほうは少しだけ目を細めた。
やがて、最後の調整が終わる。
「水中ドローン制御システム、正常」
「推進機関、問題なし」
「艤装展開、確認」
機械音が響く。
ずいほうの艤装がゆっくりと展開する。
かつては動くことすらできなかった装備。
それが今、未来の技術を得て再び力を取り戻した。
「これで……また戦えるの」
「違う」
湊は微笑む。
「これからは、守るために戦うんだ」
ずいほうは静かに頷いた。
「……ありがとうなの」
長い眠りについていた少女は、もう過去の残骸ではない。
未来へ進む、新しい艦になったのだった。
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