20話 工作潜水艦と任務!なのです!!④
任務をクリアした第四ドックの潜水娘たちは、整備士湊の整備を受けるため海上基地へ帰還した。夕日に染まる穏やかな海が迎えていた。
任務を終えた四人は、ゆっくりと整備ドックへと入っていく。みきしおは大きく伸びをしながら笑う。
「ふぅ~! 今回も無事に帰ってこられましたね!」
「グソク型エネルギアも思ったより手強かったわ」
てんりゅうが言う。その横では、U-ハイドラが静かに艤装の状態を確認していた。
「外装に~軽微な擦過痕を確認~。航行性能に~影響は~ないよ~」
一方、くろしおは嬉しそうに自分の工具箱を抱えている。
「扉もちゃんと開けられたのです! 工作潜水艦として初任務成功です!」
その言葉を聞いた湊は、小さく頷いた。
「みんな、お疲れ様。これから整備を始める」
整備ドックの照明が点灯する。四人は決められた位置へ立ち、艤装の固定装置が静かに作動した。
ガシャン、と金属音が響き、艤装が固定される。湊は端末を操作し、各機の診断を開始した。
「みきしお、右脚部の推進ユニットを確認する。戦闘中に負荷が少し上がっていた」
「はい!」
「てんりゅうは左舷側装甲を点検。敵の攻撃を受け止めた跡がある」
「了解!」
「U-ハイドラはソナー系統の診断を始める」
「問題ありません」
「くろしおは工作アームを見せて」
「はいなのです!」
くろしおは嬉しそうに両腕を差し出した。海底施設の扉を復旧するために使った工作アームには、小さな傷がいくつも付いている。湊は布で海水を丁寧に拭き取り、工具を使って各関節の動きを確かめた。
「少し摩耗してるな……でも想定範囲内だ」
「壊れていませんか?」
くろしおが少しだけ不安そうに尋ねる。
湊は笑って首を横に振った。
「大丈夫。ちゃんと手入れすれば、まだまだ使える」
「よかったのです!」
その笑顔を見て、みきしおが口を開く。
「整備士さんって、すごいですよね」
「え?」
「私たちは戦うことしかできません。でも、整備士さんがいるから、また安心して出撃できるんです」
湊は少し照れくさそうに頭をかいた。
「私は当たり前のことをしているだけだよ」
「その当たり前が、一番大事です!」
くろしおは元気よく言った。
整備ドックには工具の音が響く。ボルトを締める音。診断装置の電子音。艤装を調整する静かな振動。戦闘の緊張とは違う、穏やかな時間が流れていた。
湊は一人ひとりのデータを確認しながら、整備記録へ結果を入力する。
『みきしお 異常なし』
『てんりゅう 軽微な装甲損傷、補修完了』
『U-ハイドラ 異常なし』
『くろしお 工作アーム調整完了、各部正常』
最後に端末の保存ボタンを押す。
「これで整備完了だ」
「ありがとうございます!」
四人の声が揃う。
湊は整備ドックの窓から静かな海を見つめた。任務が終われば、整備をする。整備が終われば、また次の任務へ向かう。それが整備士としての日常であり、潜水娘たちを支える自分の役目だった。
海は今日も静かだった。だが、その静けさの奥には、まだ誰も知らない深海が広がっている。
湊は新たな整備記録を閉じ、小さく息を吐いた。
「さて……次の任務に備えよう」
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