2話 新整備士!着任です!!②
「ところで……それはスク水?」
三人の少女たちは、装甲のついたスクール水着のような衣装を着ていた。
「これですか? これは『スク水型装甲プレート服』ですよ♪」
みきしおがそう教えてくれる。
「整備士なのに、そんなことも知らないの?」
てんりゅうが冷たく言い放つ。
「てんりゅうちゃん! 整備士さんに向かってその口の聞き方は!」
「わかってるわよ、悪かったわね」
「二人とも~、仲良しだね~」
U-ハイドラがのんびり言う。
「あんたはのんびりしすぎなのよ!」
「そうですよ、整備士さんの前ですよ!」
「え~……眠い、めんどくさい」
U-ハイドラはくつろぎスペースに歩き出した。
「あ! ちょっと!」
「皆仲良しだね」
「はい! ほぼ同じ時期に作られたので」
「そうなんだね……そういえば、それは艤装?」
【艤装】潜水娘たちが装備するもので、見た目は潜水艦を真っ二つに斬ったような形状をしていて、潜水娘は艤装にサンドされる形になる。【通常・航行形態『シールド・モード』】と言う。
この状態から魚雷発射管の後ろにある角度変更機関で魚雷発射管を前に突き出した形を【魚雷発射形態『アタック・モード』】と言う。
角度変更機関が90度回転し、魚雷発射管を真上に向けた状態を【非戦闘形態『フォールディング・モード』】と言う。
「はい! 艤装ですよ♪ いまは非戦闘形態『フォールディング・モード』です」
みきしおが優しく教えてくれる。
整備士はスマート・バイザーで見る。
「うん、君も他の二人も艤装にも異常はないね」
【スマート・バイザー】整備士がつける特殊なサングラス付きの帽子。潜水娘や艤装の状態を見たり、潜水娘の視界を見ることができ、これを使い海底で指揮をする。
「スマート・バイザーですね。潜水娘の見ているものを見ることもできると聞きます。すごいですね!」
「そうかな? 支給品だから、よくわからないや」
「そうなのですか? 私たちにはすごいものに見えますよ!」
「そう? ありがとう。」
【潜水娘】地上資源が枯渇し、海底資源を回収するために作られたAI搭載のアンドロイド。できるだけ軽量化した結果、少女の形になった。水圧に耐え、足の裏にはプロペラが隠れており、スピードを出すときはこれを使い、泳ぎはばた足からクロールなど使い分ける。
「そうだ、君たちの能力を確認したいのだけど、いいかな?」
「はい! お任せください!」
巨大なプールの水面が激しく波打つ。
整備士はプールサイドに立ち、帽子のツバに手をかけ、サングラス型の【スマート・バイザー】で見る。レンズの奥でいろいろなデータが動いている。整備士の視界には、水中を弾丸のように泳ぐ三人の潜水娘たちと、そのステータス的なやつがリアルタイムで可動ホログラムとして表示されている。
(よし、視界リンク完了! まずはみきしお! おまえのソナーを見せて、プール内に仕込んだ模擬ハイドロ・コアを全てマークして)
整備士はみきしおに指示を飛ばす。
「はい!」
プール底にみきしおのヘッドホン型のセンサーが、ピピッ、と電子音を鳴らす。整備士のバイザーに、みきしおが見ているモノクロの音響マップが同期された。波紋のように広がる超音波が、隠されたダミー資源を瞬時に透過していく。
「目標捕捉完了! 反応、3。」
そう届く。
(よし、オッケー……次、てんりゅう。みきしおのデータを引き継いで、最適なルートを計算。)
てんりゅうが水中で不敵に微笑む。彼女のバイザーから無数の文字列が走り、整備士のバイザーにも送られた。
「計算完了。」
(2人とも、もし敵が出てもいいように【魚雷発射形態『アタック・モード』】に展開しろ)
「「はい!」」
(U-ハイドラはそのルートをもとに回収! 二人はU-ハイドラを警護しながら周りを警戒!)
しばらくして、三人とも上がってきた。
「回収~できたよ~」
U-ハイドラが模擬ハイドロ・コアを持ってそう言う。
「終わったわ、どう?」
「ちゃんとできたでしょうか……」
三人は心配そうな目で見てくる。
「あぁ、合格だ。今日は休んでくれ。エンジンドリンクを用意した」
「「「やったー!」」」
【エンジンドリンク】軽油と電気的エネルギーを混ぜ混ぜして作られる潜水娘専用の飲み物。
「良く頑張った」
整備士は三人の後ろ姿を見ながらそう言った。
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