144話 皆で探検!なのです!!④
海上移動基地『アーク・トリニティ』。
ずいほうとあずさは、アーク・トリニティの廊下を歩き、先に行った皆に合流しようとしていた。
「あずさ……私の記憶なら、まつ型の改良型は橘型だった気がするの」
「あぁ、はい。私たちまつ型は駆逐艦の松型からきていますから、元は改良型も橘型にする計画だったらしいですが、変えたそうですよ」
「そう、なの……時代は不思議なの」
「ずいほうさんは、昔を知っているんですか?」
「知っているの。駆逐艦『松』は、“英雄”なの」
「……そうなんですね。英雄、か。見てみたかったです!」
「私もそう思うの」
ずいほうは懐かしむような目をしている。
「はい!」
あずさはそう答えた。
「そういえば、あずさ」
「はい? なんでしょうか」
「巡視潜水艦って、なんなの?」
「はい! 巡視潜水艦とは、特定の領域をパトロールする艦船です!」
「特定の領域……たとえば?」
「そうですね。私たち姉妹は50隻いるので、バラバラですね。海域をパトロールしていたり、この基地の見回りをしていたり、人間のお手伝いをしていたり、色々ですね」
「そんなに姉妹がいたら、結構賑やかだと思うの」
「はい♪ 私もそう思いますが、でも、全員そろうことは滅多になくて……」
あずさは悲しそうな顔をした。
「……」
「でも、寂しくありません! いつも無線でお話ししてるので」
そう言い、笑う。
作り笑いだと、ずいほうは気づいた。
「代わりになるかも分からないけど、私たちが代わりに、一緒に遊んだりするの」
「ずいほうさん……ありがとうございます」
「まかせてなの」
ずいほうはそう言い、あずさの隣を歩く。
「……はい!」
あずさは嬉しそうに返事をする。
しばらく歩いていると、前の方から声が聞こえてきた。
「ずいほう~! まだ~?」
U-ハイドラの声だった。
「みんな、待ってるみたいなの」
「急ぎましょう!」
あずさが少し早足になる。
「待ってほしいの」
ずいほうもその後を追う。
角を曲がると、第四ドックの仲間たちが集まっていた。
「あ! ずいほう!」
ヴェイルが気づく。
「おかえりなさい♪」
「……あれ?」
てんりゅうがあずさを見る。
「その子、誰?」
「新しいお友達なの」
ずいほうが答える。
「え?」
「えっと……初めまして!」
あずさが一歩前に出る。
「私は、やえざくら型・18番艦『あずさ』です!」
「やえざくら型……?」
みきしおが首をかしげる。
「はい! 巡視潜水艦です!」
「巡視潜水艦……珍しいですね」
アイオワが興味深そうに見る。
「はい! 普段は色々な場所を巡回しています!」
「それで、ずいほうと一緒にいたんだね♪」
サクラが笑う。
「はい。皆さんが楽しそうだったので、ついていってしまいました……」
あずさは少し恥ずかしそうに言う。
「だったら、今日から一緒に探検しようよ♪」
ヴェイルが手を差し出す。
「え?」
「一緒に行った方が楽しいですから♪」
「あ……はい!」
あずさはその手を握る。
「よろしくお願いします!」
「こちらこそ♪」
ヴェイルが嬉しそうに笑う。
「新しい仲間が増えたの」
ずいほうも微笑む。
「そうですねっ!」
よなぐにも嬉しそうに頷く。
「じゃあ、次はどこに行く?」
てんりゅうが案内板を見る。
「え~っと……」
ヴェイルが案内板を覗き込む。
「医務室は見ましたし」
「医務室……」
あずさが呟く。
「……どうしたの?…」
潜龍が聞く。
「いえ、巡視中に怪我をした人間を運ぶこともあるので、医務室にはよく行くんです」
「なるほど……」
ずいほうはあずさの隣を歩いていた。
「……あずさ」
「はい?」
「無線で話すのも楽しいけど……」
ずいほうは少しだけ前を向く。
「実際に会って、一緒に遊ぶのも楽しいの」
「……はい」
「だから、今度、姉妹の皆さんとも遊べるといいの」
あずさは少し驚いた顔をする。
「……そうですね」
そして、今度は作り笑いではなく、本当に嬉しそうに笑った。
「きっと、楽しいと思います!」
「そうなの」
ずいほうも笑う。
「そのときは、みんなで遊ぶの」
「はい!」
二人の前を歩くヴェイルが振り返る。
「ずいほう~! あずさ~! 早く~♪」
「今行くの」
「はい!」
二人は顔を見合わせる。
そして、仲間たちの後を追いかけた。
アーク・トリニティの長い廊下に、楽しそうな声が響いていた。
ここまで読んでくれてありがとうございます。
次回もお楽しみに




