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大塩平八郎、令和に立つ —デブ総理の中身が義士だったので、知行合一で国を救ってみた—  作者: 桐生宇優


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9/12

第9話:『官邸包囲網 ―救民の刃、闇を裂く―』

1. 静寂のクーデター


「……通信が、途絶えました」


深夜の総理官邸。神田秘書官が顔を青くして、動かなくなったスマホを放り出した。外部への電話も、ネットも、すべてが遮断されている。


官邸の周囲には、いつの間にか「特殊部隊」のような装備をした、正体不明の男たちが展開していた。


「森川幹事長ですね……。あいつ、ついに強硬手段に出たんだわ」


官邸のモニターには、森川幹事長が悠々と葉巻をくゆらせる姿が映っていた(※事前に録画された映像の強制再生だ)。


「石悪くん。君の『侍ごっこ』もここまでだ。精神に異常をきたした総理が、官邸で暴れている……。我々は君を『保護』し、平和的に退陣してもらうよ」


2. 剛田SPと「門下生」の意地


「総理、ここは我々にお任せください!」


SPリーダーの剛田が、引き締まった顔で平八郎の前に立った。


第3話から始まった「地獄のスクワット」と「精神修養」を経て、官邸の護衛官たちはもはや、単なる公務員ではなかった。彼らは平八郎を「師」と仰ぐ、令和の武士もののふへと変貌していたのだ。


「剛田よ。数に怯むな。知行合一、学んだ技を、今こそ民のために使え!」


「はっ!」


官邸の廊下で、激しい戦闘が始まった。

最新のタクティカルギアに身を包んだ森川の私兵たちに対し、剛田たちは警棒と合気道を駆使して立ち向かう。


「スクワット1000回の威力、思い知れぇぇっ!」


剛田のタックルが、防弾ベストを着たプロの兵士を壁ごと粉砕した。


3. 真剣、抜刀


平八郎は執務室の奥、石悪の先祖が飾っていたという、手入れもされず埃を被っていた「古刀」の前に立った。


「……石悪。お主の家系に、これほどの名刀があったとはな」


平八郎が鞘を払う。


一瞬で、部屋の空気が張り詰めた。

かつて大坂の地で、民を救うために振るおうとしたが、ついに果たせなかった「義の刃」。


今、令和の総理大臣の肉体を通して、その刃が再び命を宿す。


「……神田殿、下がっておれ。ここから先は、学問の領域ではない」


執務室のドアが爆破され、三人の刺客が飛び込んできた。

彼らはレーザーサイト付きのサブマシンガンを構えている。


「射殺しろ!」


放たれた弾丸。


しかし、平八郎は動かなかった。いや、動いた瞬間、すでに勝負は決していた。

キィィィィンッ!

火花が散り、弾丸が真っ二つに裂け、壁に埋まった。

「……え、弾を……斬った……?」


刺客たちが呆然とする中、平八郎は風のように踏み込んだ。


「救民の志、弾丸ごときで止まると思うな!」


4. 森川幹事長への「喝」


平八郎は峰打ちで刺客たちを昏倒させると、そのまま通信室へと突き進んだ。


そこには、自分たちを「保護」しに来たはずの森川幹事長の側近たちが、モニター越しに戦況を見て震えていた。


平八郎はカメラを睨みつけ、森川幹事長に向けて吠えた。


「森川! 聞こえておるか! お主が溜め込んだその私欲の『蔵』、私が今からぶち破りに行くぞ!」


モニター越しの森川が、わずかに狼狽した。


「……バカな。特殊部隊を相手に、刀一本で……!? 石悪、貴様、本当に何者だ……!」


「私は大塩平八郎! 悪徳役人を斬り、民を救う者なり!」


5. 官邸、解放


数分後。


剛田たちの活躍と、平八郎の圧倒的な武力により、官邸を包囲していた私兵たちは完全に制圧された。

神田が、復旧した通信を使って全国に叫ぶ。


「国民の皆さん! 総理は無事です! 森川幹事長による不当な拘束を、自力で突破されました!」


ネットは、かつてないお祭り騒ぎとなった。


『総理、マジで弾丸斬ったってよ』


『実写版るろうに剣心かよ』


『森川幹事長、終了のお知らせ』


支持率、ついに55%。


日本中の民が、一人の「サムライ」の背中に、未来を託し始めていた。


だが、平八郎は折れた木刀のように、肩を落として呟いた。


「……神田殿。……この服、また破けてしまった。……石悪のタンスには、もう替えがないのだが……」





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