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大塩平八郎、令和に立つ —デブ総理の中身が義士だったので、知行合一で国を救ってみた—  作者: 桐生宇優


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第10話『鉄の鳥、空を舞う ―森川幹事長、逃がさぬぞ!―』

1. 黒幕の逃走


「……逃げたか、森川」


官邸の爆煙の中、平八郎は静かに刀を納めた。


モニターには、ヘリコプターで都心から飛び去る森川幹事長の姿が映っていた。


「総理、森川は伊豆にある私邸……というか、要塞のような巨大別荘に向かいました! あそこには彼が長年溜め込んだ裏金の証拠、そして政界の『蔵』が隠されていると言われています!」


秘書官の神田が、タブレットを操作しながら叫ぶ。


「……伊豆か。そこは、馬でどのくらいかかる?」


「馬!? いえ、車でも数時間はかかります。……ですが、今ならまだ間に合います。自衛隊のヘリを準備させました!」


2. 鉄の鳥、手綱はいずこ?


官邸の屋上。爆音を立ててプロペラが回るヘリコプターを前に、平八郎は足を止めた。


「……神田殿。……これは、何だ。巨大な蜻蛉とんぼか? それとも、異国の妖怪か?」


「自衛隊のヘリです! 早く乗ってください!」


無理やり機内に押し込まれた平八郎。浮き上がる感覚。


「ぬ、ぬうぅぉぉぉっ!? 地面が、地面が離れていくッ! 術か! 忍術なのかッ!?」


かつて大坂の町を駆け抜けた平八郎も、高度数百メートルの空中戦には、さすがに顔を青くした。


「……剛田! この鳥、どこに手綱がある! どこを引けば止まるのだ!」


「総理、落ち着いてください! 操縦はパイロットがやってますから! あと、吐かないでくださいね、そのスーツ高いんですから!」


「……うう、知行合一……。空を知ることも……修行か……」


平八郎は目を回しながらも、必死に座席にしがみついた。その姿は情けないが、瞳の奥の「殺気」だけは、一分いちぶたりとも衰えていなかった。


3. 森川の要塞


伊豆の海岸線に立つ、白亜の巨城。


そこは森川幹事長が、日本の闇から吸い上げた資金で築き上げた、現代の「悪徳の蔵」だった。


「……フン、石悪の小僧め。ヘリで追ってきているようだが、ここは難攻不落だ」


森川はワインを嗜みながら、最新の防衛システムを見つめた。


周囲には百人の警備員と、最新鋭のドローン兵器。


「ここに来るまでに、あいつは蜂の巣だ。……正義だの救民だの、そんなものは金と暴力の前では無力だということを、あの世で教えてやるよ」


その時。


ドォォォォォンッ!!!

要塞の門が、空から降ってきた「何か」によって粉砕された。


4. 救民の「降臨」


ヘリのロープを伝い、地上数十メートルから飛び降りた男がいた。


……いや、実際には足を滑らせて「落下」したのだが、その着地は凄まじかった。


「……痛、たた……。おのれ、鉄の鳥め、拙者を振り落とすとは……」


土煙の中から現れたのは、ボロボロのスーツを脱ぎ捨て、ワイシャツの袖を捲り上げた石悪(平八郎)だった。


彼の背後には、同じくロープで降りてきた剛田SP率いる「武士もののふSP隊」が並ぶ。


「……森川ぁぁぁっ!! 出てこいッ! 民を欺き、この国を私物化した報い、今ここで受けてもらうぞ!」


平八郎の咆哮が、要塞全体を震わせた。


「……やれ! 撃て! 殲滅しろ!」


森川の命令で、無数のドローンが平八郎を襲う。


しかし、平八郎は不敵に笑った。

「……空飛ぶカラクリか。大坂の役人より、少しは凝っておるようだが……。……剛田! 散れ!」


平八郎は手近にあった石を拾うと、それを目にも止まらぬ速さで投げつけた。


古流武術の「つぶて」――。


小石が、ドローンの心臓部を次々と打ち抜いていく。


「……知って行わぬは、知らぬと同じ! 貴様の『蔵』、私が今からぶち破ってくれるわ!」


5. 最後の対峙


警備員たちを次々と「峰打ち」でなぎ倒し、平八郎はついに、最上階の執務室へと辿り着いた。


重厚な扉を、一蹴りで吹き飛ばす。


そこには、震える手で銃を構える森川幹事長がいた。


「……来るな! 撃つぞ! 石悪、お前は狂っている! 政治は金だ! 妥協だ! お前のような理想主義者がいていい場所じゃないんだ!」


平八郎は、一歩ずつ、静かに歩み寄った。


銃口が向けられても、その歩みは止まらない。


「……森川よ。お主は『金』が政治だと言ったな。……ならば、聞こう。その金で、民の涙が止まったか? その金で、子供の腹が膨れたか?」


「……うるさい! 理想で飯は食えないんだよ!」


「食わせるのが、我らの仕事であろうッ!!」


平八郎の一喝。


森川は、その圧倒的な威厳に気圧され、引き金を引くことさえ忘れた。


「……お主の蔵にある金、すべて吐き出させてもらう。……これは乱ではない。……『掃除』だ」


その時。


神田が叫びながら駆け込んできた。


「総理! 大変です! ネット生配信の視聴者が……ついに1000万人を超えました! 日本中が、この対決を見ています!」


平八郎は、カメラのレンズを見据えた。


「……民よ。見ておるか。……これが、お主らの血を吸って太った『寄生虫』の正体だ!」


ついに森川を追い詰めた平八郎。

しかし、森川が最後に隠し持っていた「自爆スイッチ」が、日本全体を揺るがす危機を招く――!?


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